内容説明
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江戸の人々は、暮らしのなかで病とどのようにつきあい、癒し、いのちを守ったか。病を通して見る江戸の医療文化。医学史研究の第一人者が、錦絵などの絵画資料を通して江戸庶民の生活を明かす。
●百聞は一見にしかずという諺どおり、絵はことばでは見えなかった情報を豊かに伝えてくれる。たとえば、病人を描いたシーンでは、病人の困惑した顔、家族の病人へのいたわりと当惑、驚きのさまが描かれている。この病の多くは現代では簡単に治る病気である。それがこんなに重くのしかかっていたのかという思いと、現代では、病気への畏れを忘れているから糖尿病など生活習慣病がはびこるのだという思いが去来した。――(あとがきより)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Akihiro Nishio
19
既に類書をいくつも読んでいるので、目新しい知識はなかったが、当時の錦絵がたくさん入ることで発見はあった。面白かったのは、病気を疫病神に見立てて、それを打ち払うとされている古代の英雄を対決させている護符の類。これがいちいち格好良い。また、何にでも番付表を作るのが好きだということがわかる。とにかく一番驚くのは、その漫画絵の上手さ。なぜこんな昔から漫画を描いているのか?2017/08/03
ここぽぽ
17
江戸時代の病との向き合い方、祈りが暮らしの真ん中にある生活。今より病が命を奪うのが当たり前な中、神や仏に祈り無事を願い、看病に重点を置く。儒学が大切にされていたので、現代と全く違う。癒やしがあると思った。薬好きな日本人は時代を超えて変わらないと思った。2024/10/19
小鈴
10
江戸時代の病についてこれほど知ることができるのは、庶民の健康への関心自体が高いため絵巻物や浮世絵、書籍として残されているからだ。先に読んだ江戸の動植物図譜もそうだが、物事を網羅的に知りたがる好奇心と意欲は長い泰平の世の賜物だ。同時に中国から輸入された薬や身体観(五臓六腑)を日本独自のものが生まれたり西洋医学により相対化される。鍼灸然り。産科も独特の技術が。堕胎薬の中条流など。。。2015/10/06
Tomoko 英会話講師&翻訳者
3
絵がたくさんで楽しめた。日頃から「養生する」のが大切です。2018/04/10
雅
1
絵から当時の人々の様子や病気の時の対処法が学べた。絵を戸口に貼って疫病が来ないようにするとかこの食べ物がいいとか悪いとか(でも何を持って判断したかは不明)。他にも現代にも繋がるようなことも。医療技術は発達してないけど当時の人々は生きるということに真摯だったように思う。2013/05/03