内容説明
和食の原型は江戸時代に形作られた。そう聞くと江戸の料理は素朴なものだったと思われるかもしれないが、さにあらず。魚は天然、野菜は有機、その上調理方法にも技巧が凝らされており、江戸の食文化はとても豊かだった。例えば刺身一つとってみても今はたいてい醤油を添えるが、江戸時代は魚の種類ごとに煎り酒や生姜酢などの各種調味料を使い分けていた。薬味もわさびだけでなく、からし、おろし大根、蓼など多様だ。本書ではそんな豊かな江戸の料理と食材を季節ごとに紹介し、各種行事食の由来も解き明かす。第一人者による人気連載を初書籍化。江戸時代の図版も約150点収録。
目次
春
おせちの移り変わり
きんとん
めでたい昆布
江戸の七草
初午と稲荷ずし
雛祭りと菱餅
江戸の花見と花見弁当
団子考
江戸の市場
大坂の市場
江戸の鯛
膾と刺身
刺身と煎酒
夏
江戸っ子と鰹
鰹節の話
汐干狩
端午の節句
江戸の寿司、大坂の寿司
鮎の話
めでたい鮑
江戸の瓜
ところてんと寒天
江戸の素
江戸の水と台所
江戸の夏の振売り
江戸の屋台店
秋
鯰と地震
江戸の蒲鉾
江戸のさんま
烏賊と鯣
とろろ汁
焼芋
江戸時代の果物
江戸の浜御殿
カステラ
江戸の鶏卵
牡丹餅とお萩
江戸時代の米食
江戸の煎餅
冬
江戸の飴と飴売り
江戸の居酒屋
葱鮪のはなし
江戸時代の獣肉食
江戸のお酉さま
江戸の大根
氷のはなし
雪花菜
てんぷら
うどんと薬味
江戸の調味料
蕎麦屋と年越し蕎麦
あとがき
解説 江戸料理の豊かな世界(飯野亮一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
118
平和が続いた江戸時代に料理は大きく発展し、多くの料理書が出版された。それらを翻刻し再現する仕事をしてきた著者が、和食の基本を完成させた江戸の豊かな食文化を一般向けに紹介した本。現代に比べシンプルなものというイメージだが、それどころか素材も技術も全く遜色のない多彩さに満ちている。お節や雛祭り、節句などの行事とそれに伴う料理がどう発展したのか、酒や果物、調味料が広く受容されていく過程、禁忌と思われていた獣肉食が意外と食されていた話など、当時の文献と図版を駆使して楽しく読ませる。時代小説の読者も一読してほしい。2022/12/04
キムチ
51
蘊蓄と言えばそれまでだが筆者が生涯取り組んだ江戸期、和食の粋。歌舞伎の裏方として、教鞭と並行した道のりが結晶している。和食と言えば、素朴と思う。が 当時の食の豊かさ、奇矯なものを含めても何と多彩な事か。貝塚で見える食から奈良平安・・と食べ物と人々の暮らしは自然との営みで姿かたちを変えて来た。江戸期鎖国の時間は真に上り詰めたそれ。飼育牛豚鶏が大半の肉食は獣肉中心だったのは想像通り(焼き鳥としての雀や頻繁に食べていた雉、兎、鳩,猪鹿はよく聴く)電気が無い生活がもたらす今と全く異なる生活を垣間見せる挿絵が愉しい2023/03/05
栄吉
4
★★☆☆☆ ちまちま読む。試行錯誤しながらの調理方法。和食は素晴らしい。2022/12/14
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