内容説明
◇明治三十六年十一月一日/神戸外国人居留地
悪魔祓師の神童・皆無は、軍の任務中に心臓を貫かれ致命傷を負った。死にゆくなか、どこからか心地よい声が響く。
「人の子よ、そなたに第二の心臓を呉れてやろう。その代わり――予と煉獄の先の覇道へ、ともに征こうぞ」
現れたのは、天使とすら見紛う少女・璃々栖。「七つの大罪」に名を連ねる悪魔で――そして、彼女には腕が無かった。
悪魔の力と引換えに、璃々栖と一蓮托生の命となった皆無。二人の旅路の果ては、煉獄での終焉か、未来を掴む覇道か――
明治悪魔祓師異譚『腕を失くした璃々栖』、ここに開幕す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
42
神戸外国人居留地で軍の任務中に心臓を貫かれ致命傷を負った悪魔祓師の神童・皆無が、「七つの大罪」に名を連ねる腕のない悪魔で天使とすら見紛う少女・璃々栖に救われる明治悪魔祓師異譚。悪魔の力と引換えに、璃々栖と一蓮托生の命となった皆無。父母を殺されて奪われた祖国を奪還するため、腕を取り戻そうとする璃々栖との束の間のかけがえのない日々。けれど愛に生きる覚悟を決められなかった皆無が、璃々栖を救うために立ち上がる展開はさり気なく配された伏線が効いていて、激闘の末に二人の想いが引き寄せたその結末はなかなか良かったです。2022/12/01
わたー
27
★★★★★これはまた新人賞受賞作らしい尖りに尖った作品だなと。明治後期の神戸を舞台に、自身の片腕を探す美しき悪魔の少女璃々栖(リリス)と、軍に属する悪魔祓いの少年将官皆無(カイナ)とのボーイミーツガール。異能バトルもの要素や、本来は敵対関係な二人によるバディもの要素、おねショタ要素などの著者が好きであろう要素を詰め込み、それを明治らしい古めかしい文体で煮込んだ結果、唯一無二な作品へと昇華されていた。とはいえあくまで主軸はボーイミーツガール。2022/12/05
rotti619
24
明治、という全ての物の考え方が変わった時代を背景に、13歳で単騎少佐という立場の悪魔祓師(エクソシスト)・皆無が死に瀕した際、腕のない悪魔・璃々栖から命を救われる代わりに使役することになるお話。ボーイ・ミーツ・ガール、おねショタ、大逆転バトルといった単語が好きな人向け。更に明治時代独特の浪漫要素も付いてくる。このタイプは、どれだけその雰囲気に浸れるかにかかっているが、この作品はその点秀逸。最後の最後まで各所に散りばめられた伏線を回収しながら、人の命がどこまでも軽い、この世界観を最後まで貫いていた。2022/12/09
サキイカスルメ
24
悪魔祓師の少年、皆無【かいな】。致命傷を負い死にかけた彼を救った腕の無い悪魔の美少女璃々栖【りりす】。使い魔になってしまった皆無と、主の璃々栖が腕を探す明治悪魔祓師異譚。これは癖にブッ刺さりました!おねショタはいいぞ。漢字の使い方など独特な部分があり、読むのに時間はかかりましたが、キャラクターの性格と言動が好みに刺さりすぎて全く苦に感じませんでした!璃々栖は最初のお姉さん然なのもよきですが、悪魔なのに優しく弱い少女でもあるというギャップが素晴らしかった。2人の今後も読みたい!2022/12/03
まっさん
23
★★★★★ スニーカー大賞金賞受賞作品。 物語は明治た三十六年。数十年前に鎖国を解禁したばかりの日本の地神戸において、弱冠13歳ながらも悪魔祓師の神童として日々軍務に励む少年・皆無は、ある日任務中に心臓を貫かれその命を散らそうとしていた。今まさに死にゆく中、両腕を失くした大悪魔・璃々栖との邂逅により悪魔の力を手にした皆無が、彼女と共に地獄への旅路を歩んでいくというものでした。 シンプルに素晴らしかったです。新作に限っていうと、現状次のこのラノで投票する一位候補に上がってくる程でした。色々刺さった要素は→2023/06/03