内容説明
アメリカのケンブリッジに住んだ1993年から1995年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昂揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
121
村上春樹のケンブリッジ滞在記。プリンストンでの『やがて哀しき外国語』の続編。あとがきにも書かれているが、前者が真面目にアメリカに取り組んでいたのに対して、こちらは随分と肩の力が抜けている。それだけアメリカ滞在にも慣れてきたということか。軽妙洒脱な村上節が楽しめる。彼の言う「小確幸」があちこちに散見され、きっと楽しいアメリカ生活だったのだなと思わせる。もっとも、車を盗まれたりしているから、それなりに波乱万丈ではあったのだろうが。また全体的に平穏な生活を反映して、猫の話題も多い。絵は安西水丸、写真は陽子夫人。2012/12/07
mura_海竜
115
村上春樹さんのエッセイ。アメリカのケンブリッジ、1993年~1995年まで、雑誌『SINRA』に掲載したもの。食べ物、ファッション、生活、音楽、ボストンマラソン、車、猫などなど。ある物語のフランチェスカさんを待っていた橋の写真がある、かなり老朽化していますね。村上さんは完全なる朝型、夜は早く寝る。きちんとした生活。生活の中に『小確幸(小さいけれども確実な幸せ)』は大いに共感しました。巻末の村上さんと安西さんのすしネタで盛り上がっている話、とても面白かった。2017/04/15
ケイ
77
93-95 マサチューセッツ時代に書いたコラム。力が抜けていて、隅々まで微笑ましい。水丸さんの色鉛筆かクレヨン画のような絵も、奥さんの写真も。動物達の写真もほのぼのとさせる。一つの話が長いので、読みごたえもある。理屈っぽさもかわいく見える。気をてらってないと言うのかな。すっかり地元参加となったボストンマラソン、きっちりした建築家の大家さん、学生時代に飼っていたピーターの話が特にいい。後書きの水丸さんとの寿司屋談義がまたほんと楽しそう。水丸さんへの追悼の気持ちを込めて読みました2014/05/23
抹茶モナカ
74
93年から95年までのケンブリッジ滞在記。安西水丸さんの絵、写真をまじえ、絵日記風の柔らかいエッセイ。発売当時、何故か、読む気になれず、やっと、読んだ。ほのぼのしていて、村上春樹さん独特のユーモアもあり、軽く読める。2015/05/06
らったった
69
毎年必ずマラソンを走るという著者。いつまでも健康で そして猫好きでいてほしいものです(^^)2016/06/01