内容説明
詩の神に所在を問えばねむそうに答えるAll around you
歌人・木下龍也、待望の第3歌集。 一輪挿しの花のような短歌123首。
特別栞として挟み込んだ「詩人・谷川俊太郎との対談(抄録)」も巻末に収録。
収録歌より7首
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昔より優しくなった死にたさに「どうしたんだ?」と問いかける夜
波ひとつひとつがぼくのつま先ではるかな旅を終えて崩れる
はなびらはやさしい地雷 踏むたびに胸のあたりがわずかに痛い
雪だったころつけられた足跡を忘れられないひとひらの水
目を上下上下上下と動かして百年前の詩をうすくむく
ひっぱってくれるタイプの犬だったときおりぼくにふりむきながら
鈴を手で包んでそっと揺らしたらちいさくにぶいぼくだけの音
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【著者プロフィール】
木下龍也(きのしたたつや)
1988年、山口県生まれ。歌人。2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』、16年に第二歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』(ともに書肆侃侃房)を刊行。18年に岡野大嗣との共著歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』、19年に谷川俊太郎と岡野大嗣との詩と短歌の連詩による共著『今日は誰にも愛されたかった』、20年に短歌入門書『天才による凡人のための短歌教室』、21年に歌集『あなたのための短歌集』(すべて、小社)を刊行した。同じ池に二度落ちたことがある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まる
44
短歌を読むのは好きだけれど、自分にはずっと遠い宇宙。でも、最近の朝ドラに感化されて図書館で借りた一冊。三十一音の規律を守りながら言葉が自由気ままに踊っているようで読めば快感。 私は雨の日が好きで、ひねくれ者なので、この詩が好きです。「雨、ぼくはぼくよりも不憫なひとが好きで窓から街を見ている」 「生きてみることが答えになるような 問いを抱えて生きていこうね」2023/02/28
ま
36
世界の新しい切り取り方。「海馬にはおならを泡で見せ合った湯船が今も沈まずにある」「ひとつめの扉を閉じているような祖母の運転免許返納」時折刺さるのが良い。2023/07/05
水色系
32
「後ろから抱きしめながらするキスはあなたがくるしそうでうれしい」(P33)。この歌のサインが入っており、宝物のような一冊。スピンが2つついていて、今読んでるところと、好きな歌の2箇所にはさむみたいな使い方ができるので楽しい。2022/10/25
mako
31
こころ魅かれる歌が何首もある。繊細さ、やさしさ、同時に死がすぐそこにあったり・・・。繰り返し読みたい。2022/10/20
だいだい(橙)
30
「情熱大陸」に登場した話題の歌人による新歌集。表現力には唸らされるが、特に目新しいものはない。若い人が共感しやすい、恋愛感情、死にたいという気分、寂しいという気持ちをちりばめているので、たぶん売れ筋なのだろう。私としては、これだけ力のある歌人が、受けるトレンドの歌を詠むのはちょっと物足りない気がするが、短歌の入口としてはちょうど良いのかもしれない。短歌に興味を持ち始めた人にお薦めしたい。2022/11/01
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