内容説明
近代国家と資本主義の正当性とは?
「人間的自由」の本質に立ち戻り近現代思想を根本から問い返す!
「国家」と「資本主義」の矛盾を克服し、その獰猛な格差原理を制御する新しい時代思想はいかにして可能か。ポストモダン思想をはじめとする20世紀社会思想の対抗原理の枠組みが失効したいま、資本主義的自由国家の「正当性」をどう哲学的に基礎づけるか。カント、ヘーゲル、マルクスら近代哲学に立ち戻り現代社会の行き先を再検証する画期的論考。
ヘーゲルは、「人間的自由」の本質は必ず近代の「自由国家」を必然化し、またそれは「放埒な欲求の体系」(競争的資本主義)へ転化すると考えた。そして近代国家の「人倫」の原理だけが、この矛盾を内的に制御し克服しうると主張した。……われわれはヘーゲルが近代国家論を完成したと考えたこの場面に立ち戻り、ヘーゲルの構想を、もういちど人間的自由の本質からはじめて“解体構築”しなおす必要があるのだ。――<本書より>
目次
第1章 資本主義・国家・倫理――『トランスクリティーク』のアポリア
第2章 絶対知と欲望――近代精神の本質
第3章 人間的自由の条件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
2
現代社会、人間の自由の原理をヘーゲルの読み直しから解き明かす壮大な自由論であり、竹田青嗣という視点を通した近現代社会思想概説にもなっている。ものすごいボリュームで竹田哲学の理論的にも最高傑作と言えるだろう。近代における人間のあり方と自由の条件を考え、相対主義的なポストモダンを批判し、自由の相互承認、調整のための社会哲学を構築していく力作だ2011/05/10
Shin
2
竹田青嗣さんの本は何冊か読んできたが、どの本も「哲学とは私たちがより良く生きるためにある」という隠れたメッセージが伝わってきて、不思議と生きる力を与えられる。他の人がどう思うか分からないが、私にとっては得がたい哲学者であり、現代知識人としての理想型なのではないかと思う。本書は長くて難解な部分もあるが、ポストモダン思想が相対化するだけで解決に失敗した「資本主義社会における自由の抑圧」をどう問題定義するか、という基本テーゼを押さえながら読めば、全体の論旨はわかりやすい。2011/03/26
μέλισσα
1
ヘーゲル研究の王道が分からず、ここで提示されているヘーゲル像がどこまで通常とは異なるものであるか、正確には計りかねるが、ポストモダンまでの多くのヘーゲルへの言及を肯定、否定問わず参照し、そのどれもが汲み取れていない自由の本質論としてのヘーゲル哲学を打ち出している以上、相当に野心的な著作ではあるのだろう。 また、前半の柄谷行人批判も、事情はあるのだろうが、柄谷行人に対する批評というのが、(柄谷行人という人の世界的評価に対して)日本人の哲学者として少ないと思うので、その点も貴重であろう。2025/02/24
ドビン
1
社会関係に基づく「正義」への意志の根拠を深く考察し、ポストモダニズムの本質、限界を指摘しつつ、一般意志としての正義への希求をルサンチマンや独断的な絶対正義から解放しようとする考察。哲学史としても非常に興味深い好著。2016/01/10
山名
0
「自由」を自覚した後の人間の意識の内面を描写し、故に「近代国家」を要請したヘーゲル。しかし現実にその国家は自由を保障する国家たり得ていないと喝破したマルクス。マルクスの論難自体、筆者は正鵠を得ているというが、筆者の関心事はその適切なマルクスの議論が、なぜその後党派的なものに陥ったのかである。それをアーレントやヘーゲルを援用しつつ、正義の名においては「自由」以外のいずれも冠してはいけないという結論を出す。2016/08/05
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