内容説明
“転勤都市”札幌の郊外に住むサッカー少年、ケイタ。小学校入学以来、彼の前には「ユウキ」という名の転校生が三度現れ、たくさんの思い出と痛みとを残してまた去っていった。六年生の新学期にやってきた四人目のユウキは、長い髪の女の子。彼女は不思議少女とあだ名され、いろいろな“奇跡”を起こして話題をさらうが、それがやがて彼女を孤立させることになっていく……。多感な子どもたちの心模様を生き生きと描ききった力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
71
転校生に新しい友だちができるかどうか、という問題は想像できても、もうひとつの問題のほうが深刻だったりする。一度も転校したことのないケイタには、そんな気持ちがなかなかわからなかったわけだ(人のことが言えないけれど)。親の転勤というのは大人も大変だが、子どもへの影響はそれ以上かもしれない。会社という存在はそこまで考えないから、単身赴任という不自然な形も生まれてしまう。小・中学生にもし言えるなら。転校していく友だちは決して裏切るつもりなどないと言いたい。大人の都合なのだから、友だちをうらまないでほしいと。2021/09/30
しろいるか
42
中学の入試問題としても取り上げられた児童文学作品。主人公のケイタは転入出の多い小学校に通う6年生。仲良くなってはその友が転校していってしまうということを何度も経験し、偶然にも仲良くなった友達は皆「ユウキ」という名前。そして春、「ユウキ」が転入してくる・・・せっかく仲良くなった友達が、家の事情で突然去っていくというのは子供にとってはショックだし寂しいことだ。ケイタがカズヤや、優希に対して素直になれない様がこの年代の少年心理がよく表されているなと思った。終盤にかけてのヨシカワの活躍がいい。読後がとても爽やか。2011/01/25
ぐうぐう
33
物語において、転校生は通り過ぎていくことが多い。突然に来て、前触れもなく去って行く。けれど転校生にも、来るまでの、そして去ったのちの物語があることを忘れがちだ。『ユウキ』は、転勤族が多く住む札幌を舞台に、転校生を迎える6年生のケイタを主人公にした物語だ。ケイタは転校してしまった仲の良かった友人のことが忘れられずにいる。新たに転校してきた少女・優希によって、残された側の物語だけではなく、去っていった側の物語もあることをケイタは知っていく。(つづく)2022/01/21
Nyah
24
札幌郊外に住むサッカー少年ケイタ。転勤が多い町で転校生が毎年くる。ケイタが小学校入学して以来、彼の前には「ユウキ」という名の転校生が三度現れ、仲良い友達となった。六年生の新学期にやってきた四人目のユウキは、おまじないや占いなどができる長い髪の不思議な女の子。不思議少女は転入そうそう話題となるが、その為に孤立する。ケイタはやり直せばいいと伝える。中学生娘が、小学生の時に学校指定の課題図書だと言っていた。友達関係の問題が深刻過ぎず、注視しやすいか。2020/07/19
ふじ
21
読みたい本にいつか入れた、そんな本。読んでみると確かに、自分にしっくりくる物語だったと思う。転校生の多い街、札幌の小学生のお話。主人公は地元っ子でいつも見送る側。タイトルの「ユウキ」は転校生側。どちらの辛さもきちんと描かれていて良本。短い間でも真摯に関係を育みたいと願う子ども達の態度に、忘れていた誠実さを貰ったような読後。子どもの1年は人生を変えるほど長い。転校生側だった自分は辛さが凄くわかる。2023/07/20
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