内容説明
世界市場ブリュージュの賑わい,モンゴル帝国のもと活況を呈する「シルクロード」,海上交易で活躍するエジプト・カーリミー商人,「世界最大の都市」杭州の繁栄…….近代世界成立以前の一三世紀,ヨーロッパから中国に至るユーラシアの陸海は,すでに一つの世界システムを作りあげていた.広い視野と豊かな筆致で描かれるグローバル・ヒストリー.
目次
■下巻目次
第二部 中東心臓部(承前)
第七章 マムルーク朝政権下のカイロの独
第三部 アジア
インド洋システム――その三つの部分
第八章 インド亜大陸――すべての地に通じる道
第九章 海峡と瀬戸
第一〇章 絹の中国
結論
第一一章 一三世紀世界システムの再構成
訳者あとがき
もうひとつの世界システム――岩波現代文庫によせて……三浦 徹
原注
参考文献
索引
■上巻目次
日本語版への序文
序文
凡例
序論 第一章 システム形成への問い
第一部 ヨーロッパ・サブシステム
古き帝国からの出現
第二章 シャンパーニュ大市の諸都市
第三章 ブリュージュとヘント――フランドルの商工業都市
第四章 ジェノヴァとヴェネツィアの海洋商人たち
第二部 中東心臓部
東洋への三つのルート
第五章 モンゴルと北方の道
第六章 シンドバードの道――バグダードとペルシア湾
原注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
19
解説にもあるように、遠距離交易網が繋がっただけで「世界システム」といえるのかという疑問も。ただ同時に疾病・戦争・気候変動といった様々な要因により、システムが「再構成」されるという図式は、時代の転換点に生きる現代人にとっても説得力があるところ。古代ローマ帝国と漢のシルクロード交易、本書のメインとなる中国を重心としたユーラシア交易網、近代ヨーロッパの覇権、そしてパクス・アメリカーナ。常にシステムが再構成され、新しいグローバルな連環が生まれていく。実証的には古びても、その大局的な見方は価値を失っていない一冊。2022/06/12
いとう・しんご
10
歴史を見るときに、私たちの目には一番大きなベクトルしか見えてこないけれど、そのベクトルは内在する複数のベクトルの合成に違いないし、その内在するベクトルもまた複数のベクトルの合成に過ぎない、といういくつもの階層という認識に立ったときに、どの階層でサブシステムを切り出すか、それによって見えなくなるモノの存在を踏まえつつ、サブシステム間の「結びつき」に注目すべきと言う最終11章P188の指摘に深く考え込んでしまいました。2024/11/17
スプリント
7
説明されている世界システムは全面的に納得できるわけではないが一つの考え方としては興味深かった。2024/12/08
aruku_gojira
4
上巻、下巻を通して、ヨーロッパ、中東、アジアの三箇所が中心となって展開した「ヨーロッパ覇権以前」の世界システムについて、解明を試みた本書。やはり、取り上げたテーマが大きく、また600〜1000年前の交易システムの分析であるため資料が少なく、故に大まかな説明にならざるを得ない印象だが、興味深かった。読み終わって、世界の交易路を押さえていた勢力がアジアからヨーロッパに移る要因は、ヨーロッパの優位性で説明できるわけではなく、疫病の流行、疫病に伴う国内の社会構造の変化、諸国間の対外政策の捉え方の違いなど、複雑。2023/12/31
Rieko Ito
4
商業・経済によって世界をひと続きのものとして見ていく視点は興味深い。しかし私がいくらか知識のある中国については誤りが多く(翻訳でも注記されている)、見方も一面的なところがある。著者は中国が苦手分野なのだろうが、これでは私がよく知らない他の地方に関する記述も怪しくなってしまうのが欠点だ。2023/03/10
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