岩波現代文庫<br> ヨーロッパ覇権以前 上 - もうひとつの世界システム

個数:1
紙書籍版価格
¥1,540
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

岩波現代文庫
ヨーロッパ覇権以前 上 - もうひとつの世界システム

  • ISBN:9784006004484

ファイル: /

内容説明

世界市場ブリュージュの賑わい,モンゴル帝国のもと活況を呈する「シルクロード」,海上交易で活躍するエジプト・カーリミー商人,「世界最大の都市」杭州の繁栄…….近代世界成立以前の一三世紀,ヨーロッパから中国に至るユーラシアの陸海は,すでに一つの世界システムを作りあげていた.広い視野と豊かな筆致で描かれるグローバル・ヒストリー.

目次

■上巻目次
日本語版への序文
序文
凡例
序論
第一章 システム形成への問い
第一部 ヨーロッパ・サブシステム
古き帝国からの出現
第二章 シャンパーニュ大市の諸都市
第三章 ブリュージュとヘント――フランドルの商工業都市
第四章 ジェノヴァとヴェネツィアの海洋商人たち
第二部 中東心臓部
東洋への三つのルート
第五章 モンゴルと北方の道
第六章 シンドバードの道――バグダードとペルシア湾
原注
■下巻目次
第二部 中東心臓部(承前)
第七章 マムルーク朝政権下のカイロの独占
第三部 アジア
インド洋システム――その三つの部分
第八章 インド亜大陸――すべての地に通じる道
第九章 海峡と瀬戸
第一〇章 絹の中国
結論 第一一章 一三世紀世界システムの再構成
訳者あとがき
もうひとつの世界システム――岩波現代文庫によせて(三浦徹)
原注
参考文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MUNEKAZ

16
もとは1989年の発刊。ウォーラーステインの世界システム論の向こうを張り、13世紀にはすでにグローバルな連環があったとする。著者の主張の当否は下巻を読んでからにするとして、上巻で言及されているシャンパーニュ、フランドル、ジェノヴァ、ヴェネツィア、バグダートといった交易で一時代を築きながらも、複合的な要因であっさり衰退していく都市の教訓は、昨今の世界情勢を見るとヘンなリアル感も。戦争や宗教、政治闘争のほかに、疾病や気候変動も絡み合った興亡の歴史は、出版当時の著者の思惑を超えて、現代的な問題の提示にも見える。2022/06/09

いとう・しんご

11
このエントリーは文庫版ですが、本棚のハードカバー版、しかも2001年の初版本を引っ張り出してきて久々の再読です。ブローデルに源を発する一連の世界システム論の重要な一郭を占める本。しかし、それ以上に著者の歴史を読み解くための批判的な認識、つまり史料や証人は嘘をつくという認識、学際的な多様な視点が必要という認識、自分自身が無自覚のうちに特定の視点に囚われるというと言う認識、に立って常に注意深く歴史を見据える彼女の姿勢に共感しました。2024/11/17

スプリント

5
13世紀から14世紀にかけて構築された ヨーロッパと中国をつなぐグローバルな商業圏について解説した一冊。2024/05/03

aruku_gojira

3
紅海・ペルシャ湾からインド洋、南シナ海を経由して東アジアに至るルート、および南北アメリカ大陸を経由して世界一周するルートが開拓され、世界大のシステムを構築し、そのシステムを主にヨーロッパの国々が運用し、ポルトガル、オランダ、イギリスへと覇権、担い手が移っていく15世紀よりも前にも、ヨーロッパとアジアを結んだ(当時の)世界大のシステムがあったのでは?と論が展開する、本書。ヨーロッパ優位性が強調された歴史観に物申すという位置付になるが、本書が歴史研究なのか、それとも別の研究分野かは、下巻の解説に詳しい。2023/12/17

Rieko Ito

3
13.14世紀のヨーロッパ―中東―東アジアの交易システムについての本。この時代にも、活発で恒常的な全ユーラシア規模の世界システムが存在した。お金儲けにいそしむ中世商人たちの姿が、生き生きと眼前に現れる。残念なのは著者が西洋人だからだろうが、全体がヨーロッパ目線に偏っていること。ヴェネチア・ジェノヴァ商人の主体的な描写に比べ、モンゴルや中東はあくまで通路・集積地だ。 2023/03/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19539898
  • ご注意事項

最近チェックした商品

 

同じシリーズの商品一覧

該当件数2件 全てにチェックを入れる/全てにチェックをはずす