内容説明
末期がんで余命1年の宣告
先逝く妻の心情は? 残された夫の胸中は?
そして妻は生涯最後の行動に出た――。
夫婦とは、家族とは。感涙必至の傑作!
余命1年。42年連れ添った妻杏子が末期がんを宣告された。70歳を前になお嘱託として会社に人生を捧げる一ノ瀬廉太郎は愕然とした。
炊事や洗濯など自分の身の回りのことは何もできないのに、子供じみた意地を張るばかりの夫であった。そんな父に、娘は母をもう解放してと責め立てる。
妻への後悔と自分の将来に対する不安に襲われた廉太郎は……。
感涙必至の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
92
★★★★☆23030【妻の終活(坂井希久子さん)】目からポロポロ〜、さらにジャ〜となるシーンもあるので必ずひとりで読むべし!これは是非とも既婚男性に読んで欲しい作品です。夫婦間での夫の在り方、家族の中での父の在り方、考えさせられました。今まで当方が読んだ坂井さん作品の中でも好みの作風でランキング上位です。もう、先が気になり過ぎて一気読みでした。本作品はあらすじを知らないまま読んだ方が心に響く度合いが高いかもです《主な登場人物》夫の廉太郎(主人公)、妻の杏子、長女の美智子、次女の恵子。超おすすめです!2023/05/05
まさきち
62
杏子がなんともカッコいい。2023/07/10
万葉語り
52
高齢の両親と重ね合わせて読んだ。そして自分にも必ず訪れることだと思うと廉太郎とそんなに違わない自分に気付いてショックを受けた。地縁も血縁もそんなに濃くない、職縁頼みの生活はいつまでも続けられるものではないとわかっていてもそんなにすぐに人は変われないので少しずつ準備していこうと思った。2025-332025/06/08
のんちゃん
40
廉太郎は70歳の今も嘱託で会社勤め、人生、仕事が最優先だ。そんなある日、妻が癌で余命1年の宣告を受ける。妻と二人暮らしの廉太郎は家事もさっぱりできず、妻がいなくなる事に感情的にしか向き合えない。独立している二人の娘とも心は通っていず、さてこの事態の中、彼はどうする?という話。残りの時間を夫のこれからの為に色々と指南し準備する妻杏子が逞しい。やっぱり最後は女の方が腹を括れ、死への不安を持ちながらもまわりに隠して対処できる底力がある様に感じられた。エンディングノート、草案は書いたがもう清書する年齢になるな。2022/11/18
Karl Heintz Schneider
37
「すみません。もう助からないそうです。」2歳下の妻からある日突然こう切り出された70歳の廉太郎。うろたえる彼に長女の美智子が追い打ちをかける。「だからお願い、もうお母さんを解放してあげて。」家庭を顧みず、仕事一筋で生きてきた昭和の男。家族のために頑張ってきた俺の生き方は間違っていたのか。余命一年を宣告された妻に寄り添うことは言うなれば彼にとっての第二の人生。これまでの自分の生きざまを反省する姿は決して他人ごととは思えなかった。2025/07/24