わたしは「ひとり新聞社」――岩手県大槌町で生き、考え、伝える

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わたしは「ひとり新聞社」――岩手県大槌町で生き、考え、伝える

  • 著者名:菊池由貴子【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 亜紀書房(2022/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 540pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784750517674

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内容説明

《そうだ、大槌だけの新聞をつくろう!》
町民の、町民による、町民のための小さな「大槌新聞」10年の奮闘記


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自分が生まれ育った町に何の関心も持たず、文章もろくに書いたことがない引っ込み思案な「わたし」。
震災を機に踏み出した、町と自身の再生への道のり……。
被災地復興の光と影、真のメディアとジャーナリズムのあり方を忖度なくあぶり出した、自伝的ノンフィクション。

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「町のため」と思って創刊しましたが、結局は「自分のため」でした。
子どもがいない私にとって、大槌新聞の1号1号が子どもです。
好きでやっている。それでいいんだと思いました。
(「おわりに」より)

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【目次】
■はじめに

第1章……生きる意義を見失っていた震災前
■私が生まれ育った町、大槌
■大病続きの人生

第2章……大槌町の新聞を作りたい
■津波が襲った日
■素人が「大槌新聞」を創刊 

第3章……地域メディアミックスに挑む
■人口1万人の町だからこそ 
■選挙で状況が一変する 

第4章……中断された震災検証
■調査不足だった初回の検証 
■二度目の検証をしたけれど 
■記録誌は「検証」ではない 
■誇れる民間のアーカイブ 

第5章……解体された大槌町旧役場庁舎
■保存から一転、解体へ 
■解体に熟慮を求めた住民 
■訴訟にまで発展した末に 

第6章……本当の復興はこれから 
■課題はいろいろ
 ・縮むまちづくり
 ・官民連携の難しさ
 ・地域情報はコミュニティの基礎
■地方自治の現実と可能性
・町役場で相次ぐ不祥事 
・議会好きだからこそ言いたい 
■復興とは何なのか 
 ・税金の無駄にならないために
 ・古くて新しい、お祭りの力

第7章……創造的メディアをめざして
■大槌新聞とマスコミとの違い 
■いつか絶対良くなる 

■おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

61
東日本大震災で被災した筆者は、それ以前に自身が難病にかかって入退院を繰り返し、一時は生死の境もさまよっていた。それが、震災後は避難生活の体験から、被災者が自分たちの町の情報を知りたいと強く思っていることに気づいて「ひとり新聞社」を始めることに。大槌町の町民の生活に寄り添うことは、町政や民間団体、復興支援に関する国や県の機関と必然的に関わることになる。筆者の、何としても大槌町の町民に「伝えたい」一心が感じられた。今後の大槌町がどう変わっていくのか、私も関心をもっていきたい。菊池由貴子さん、素晴らしい!2024/01/29

けんとまん1007

49
改めて、メディア・ジャーナリズムとは何か・・を考えた。何より、視点・立ち位置の在り方だと思う。そこに住む人たちにとって、何が、一番求められているのかを考え続けること。いわゆるマスメディアは、既に、商売が全面にたってしまっている。その地域のあった形というものがあるのだと思う。そして、誰に情報を届けるか。自分で、どんどん情報を集める人でなく、情報に触れる手段が少ない人へ、どれだけ届けるかだと思う。ところが、メデイアだけでなく、巷に溢れるのは、元気な人がより元気になるような、同じ人たちだけが集まる場ばかりだ。2023/01/24

泰然

39
岩手県大槌町。大病を患い、離婚の挫折を抱えた内気な女性が、あの震災を契機に全くのゼロから故郷の町民のためにひとりだけの新聞社として大槌新聞を創刊する。良い意味でケレンさや感動味はない。悲痛な現実や過去と向き合って内省や検証することなしに本当の震災復興はなく、人間個人個人の再生はないことを懇々と問う。言うなれば「一粒の麦」として故郷復興の地域メディアとしてひとり奮闘した彼女の日々は、南米アンデスのハチドリの山火事寓話を想起させる。持病と闘いつつ、答えを模索する。しかし結果を急がない懐の深さは普遍の味がある。2022/10/06

kan

25
草の根ジャーナリズムとも呼べるだろうか、一町民として町の復興のため、知りたいことを取材し、町の人々が知りたいと思うだろうことや人々に知ってもらいたいことをあくまで一町民目線で伝え続けた大槌新聞。大上段に構えず伝えるべきことを伝え続ける姿勢を貫き、震災後のシビックエンゲージメントに影響を与える地域メディアの役割を果たしたのだろうと思う。小さな町ならではの限定的な循環や忖度が不祥事に繋がりやすく、地方の小自治体の舵取りと住民の行政との関わりの難しさが際立っており、メディアの役割と姿勢の重要さを実感した。2023/02/26

いちろく

24
全国紙は東京、都道府県紙は都道府県庁所在地、そして大槌新聞は大鎚町と、新聞における「視点」を説く著者。一人で、取材、執筆、編集だけでなく、事務、経理、広報まで行い、東日本大震災後の2012年6月から2021年3月まで大槌町を対象とした定期発行を継続した実績だけでも驚愕だった。その間、著者自身も再婚からの離婚を経験しただけでなく、元々悪かった体調を更に悪化させている点も述べており、美談とせず犠牲になったことも提示している点に、ただただ頭が下がるばかりだった。まさに命をかけた10年弱の記録を読んだ感覚だった。2024/06/14

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