内容説明
各メディアで頻繁に目にするLGBTI=性的少数者への社会的な関心は高まっている。しかし、国や自治体、企業の取り組みはまだまだ十分ではなく、とりわけ学校現場での差別やいじめ、ハラスメント、それが原因の自殺・自殺未遂は後を絶たない。
児童・生徒と学生が自分の性自認で悩まされることなく安心して学べる教育環境の整備に向けて、教育関係者の意識を転換することが求められている。
本書では、各種団体の調査結果を示しながら、小・中学校から高校・大学までの現場で起きている切実な問題を明らかにする。そして、それに対する学校と地域住民、民間団体、医療機関、行政などが連携しておこなっている啓発教育や支援活動の実例を紹介する。加えて法律や制度の不備を指摘し、外国とも比較しながら、すべての人が多様な性を自分らしく生きる自由を保障するための方策を具体的に提言する。
目次
はじめに 三成美保
序章 教育でのLGBTIの権利保障の課題 三成美保
1 性の複合的な多様性
2 トランスジェンダー/インターセックスの「学ぶ権利」の保障
3 性的指向の自由の尊重
4 今後の展望――五つの課題
第1部 学校教育でのLGBTIの権利保障
第1章 生徒による取り組みの紹介――丹原東中学校の実践から 岸田英之
1 研究主題と設定の理由
2 研究の内容と方法
3 研究実践
4 成果と課題
第2章 LGBTI当事者のケアに向けた学校と医療施設との連携 中塚幹也
1 性的マイノリティとLGBTI
2 LGBTI当事者と医療
3 性同一性障害の診療
4 性同一性障害の子どもの現実
5 性別違和感をもつ思春期の子どもへの医療的支援
6 文部科学省の動向
7 学校と医療施設との連携に向けて
コラム1 LGBT/SOGIに関する包括的な法整備の必要性 谷口洋幸
第3章 多様な性をもつ子どもの現状と教育現場で求められる対応について 藥師実芳
1 性的マイノリティの子どもの現状
2 性的マイノリティの子どもが教育現場で困りやすいこと
3 教育現場で求められる対応
4 国内の好事例と課題
5 多様な性についての教育実践
第4章 「性の多様性」教育の方法と課題 渡辺大輔
1 「性の多様性」教育の位置づけ
2 文科省通知と周知資料の特徴と課題
3 なぜ/いつ「性の多様性」を学ぶのか
4 どのように「性の多様性」を学ぶか
第5章 教員採用試験での適性検査MMPIの見直しの必要性 岩本健良
1 教員採用試験での適性検査使用の実態
2 MMPIの起源と問題点
3 採用試験適性検査をめぐる日本国内の動向
4 議会質疑と政府・自治体の対応
5 マスコミ報道・出版
第2部 大学教育でのLGBTIの権利保障
第6章 日本の大学での性的少数者に関する調査結果 隠岐さや香
1 学生に対する性的少数者支援の状況――先行研究紹介
2 「研究環境におけるダイバーシティのためのアンケート調査」――調査の目的・方法と定量的内容の分析
3 研究者である性的少数者がかかえる困りごと――自由記述欄の分析
4 研究する性的少数者と異性愛者女性、障害者に共通するもの
第7章 大学での性的指向と性自認が非典型の学生支援の課題 河嶋静代
1 調査報告書の概要
2 性的指向・性自認が非典型の学生を支援するための課題
コラム2 性的マイノリティ問題への取り組み――国際基督教大学での実践からみえてきたこと 田中かず子
第8章 トランスジェンダーの学生受け入れとアメリカの名門女子大学――もう一つの「共学」論争後のアドミッションポリシー 高橋裕子
1 「ニューヨークタイムズ」紙に報道された「男女共学論争」
2 「ニューヨークタイムズ」紙に報道された「入学許可論争」
3 ウェルズリー大学とバーナード大学での調査から
4 五女子大学が公表したトランスジェンダーの学生をめぐるアドミッションポリシー
5 学生支援という視点
コラム3 トイレ騒動――現在進行形 紙谷雅子
おわりに 戒能民江
ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TAK.I
kiriya shinichiro
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