だから、もう眠らせてほしい

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だから、もう眠らせてほしい

  • 著者名:西智弘【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 晶文社(2022/09発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794971876

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内容説明

オンライン投稿サイト「note」にて、20万PV突破!!!
注目のノンフィクション・ノベル!

僕は医師として、安楽死を世界から無くしたいと思っていた。

安楽死を願った二人の若き患者と過ごし、そして別れたある夏に
何が起こったか――。オランダ、ベルギーを筆頭に世界中で議論
が巻き上がっている「安楽死制度」。その実態とは。
緩和ケア医が全身で患者と向き合い、懸命に言葉を交し合った
「生命(いのち)」の記録。

オランダでは年間七〇〇〇人が安楽死を迎え、日本の世論でも
国民の七割が賛成を表する「安楽死制度」。

スイスに行く手続きを進めながら、それが叶わないなら緩和ケア病棟で
薬を使って眠りたいと望んだ三〇代の女性。そして看護師になることを夢
に、子供たちとの関わりの中で静かに死に向かっていった二〇代の男性。
二人と過ごした日々を通して見えてきたものとは。

写真家で多発性骨髄腫をかかえる幡野広志氏、
世界中の安楽死の事例を取材して紹介した宮下洋一氏、
そして精神科医の松本俊彦氏と、
在宅で緩和ケアを行っている新城拓也氏との対談も収録。

【目次】
プロローグ
・吉田ユカからの電話

1:止まってしまった心――吉田ユカの場合
2:もう一人の安楽死――Yくんの場合
3:暮らしの保健室
・看護という力
・死の色と雨
4:スイスに行けない
5:安楽死に対峙する、緩和ケアへの信頼と不信――幡野広志と会う
・幡野広志と吉田ユカ
・緩和ケアを信頼できない理由
・耐え難い苦痛とは何か
6:安楽死の議論はやめたほうがいい――宮下洋一に会う
・パンクするスイスの現場
・流れ作業化する安楽死
・海外の安楽死システムは完全か
7:命ではなく、希望を守りたい
・Yくんの右腕
8:安心して死にたいと言える社会――松本俊彦に会う
・安楽死をしたい人に、安楽死で応えるべきなのか
9:もし未来がわかったなら
10:少し先の未来がつなぐもの
・緩和ケア病棟にて
11:欲望を換金する――新城拓也に会う
・二極化する中での個人責任論
・鎮静についての考え方と予防的鎮静
・ノックされたら開けてしまう
12:一〇日間の涙
・月曜日の憂鬱
・カンファレンスにて
・ラインを引く
・一〇日間

エピローグ
・釧路の海に

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モルク

90
合法のスイスの安楽死を求めたが叶わず緩和ケア病棟でトイレに行けなくなった時に「持続的な深い鎮静」をしてほしいという30代のすい臓癌の女性と看護師を目指していた20代の末期大腸癌の男性。この二人を通して緩和ケア医西野氏が安楽死と緩和ケアを探る。自分があるいは家族がもう確実に先がなく「耐えがたい苦痛」に苦しんでいたら、と考えると安楽死という選択肢があってもいいのかなとは思うが苦痛の度合いは個人差がありその線引きは難しい。ハードルは高くまだまだ議論を要する。私はできる限り痛みがなく安らかな最期を迎えたい。2024/11/12

nyaoko

84
もし、治る見込みのない病に侵され、耐え難い苦痛しか残されていないと知ったなら、お互いに安楽死を望みたいと夫と話した事がある。けれども、日本にはまだ安楽死の制度がない。その代わりに緩和ケアがある。苦痛を取り除き、穏やかに死ねるのならばそれはありだなあと思ってたけど…非常に難しい様だ。出来る限りの治療を施され、その痛みや苦しみはまだ我慢できると医療者から判断され、身内からは生きろ生きろと励まされ、それはまさに生き地獄。苦しみの中で死ぬよりも、安らかな眠りの中で優しい夢を見ながら死にたい。2020/09/23

夜長月🌙@読書会10周年

72
薬では抑えられない絶望的な苦痛(肉体的もしくは精神的)がある時にあなたは安楽死を望みますか。あるいはホスピスに入りますか。それとも生きることに全力で臨みますか。著者は緩和ケアを行なっている医師であり、安楽死がたとえ日本で認められたとしても限りなく0であることを望んでいます。豊富な具体例とともに話が深められていきました。耐えがたい苦痛の定義とは何か。そしてそれを判断するのが医師でよいのか。考えさせられます。2023/09/09

honyomuhito

67
最近SNSを見ていると、時々末期の癌患者本人の書き込みを見ることがある。以前は患者本人の意思に直接触れることは少なかった。癌になったら余命を宣告されたら人生が終わってしまうのではというイメージを覆し、真摯に、大切に、そしてマイペースに生きることと向き合う人が多いように思う。著者もまたSNSを通じて、今まで気軽に話題に出ることは少なかった安楽死というものに問題提起している。医師である著者は重篤な病を被った患者の肉体的、精神的な負荷を軽減し生活の質(QOL)を改善することを目的とした緩和ケアを専門としている。2020/09/22

あつこんぐ

40
さっき痛み止めを飲んだばかりの患者さんがまだ痛みを訴えた時「さっき薬飲んだばかりやろ。もう少し我慢して」と言ってしまうことがよくあります。でも、自分が患者になった時「そんなことはどうでもいいからとにかく痛みを止めて」と思う自分がいます。本人の痛みは本人にしかわからない。患者さん自身が思うように過ごせる世の中になってほしいです。2020/12/13

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