内容説明
兵隊は戦場で何を考え、どのように生活しているか
「百人斬り競争」「日本刀神話」が戦後も事実として語り継がれるのはなぜか。自らの軍隊体験をもとにそれらの誤解や偏見を喝破する。
※この電子書籍は1983年5月に刊行された文春文庫を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
16
○百人斬り報道等の虚報を憎悪しているだけあり、リアリティに富んだ作品に感じました。軍隊の実情や組織、日本人に対する冷静な書きっぷりに圧倒されました。2024/02/16
かっさん
4
私の中の日本軍(下) #読了 #山本七平 さんの著書 著者の従軍経験と、報道や一般的に言われている戦時中の事柄の差を主に記してある。 リアルな従軍した方の声としても貴重だし、各種報道についての受け止め方についても、勉強になる。戦争経験者の減る中、とてもいい本だと思う2023/04/05
アンディ・ワイス
3
フィリピン従軍での体験が半分、あと半分は南京の百人斬り報道の検証。フィリピンの話は大岡昇平のレイテ戦記と同じく自らの体験に基づく極めてリアルな話。南京の話は、朝日新聞本多勝一記者との論争も絡んでいるようだ。いずれにせよ、日本の軍隊がどういう組織原理になっているか良く分かる。2022/12/06
Lieu
3
著者自分の軍隊体験と「百人斬り」記事批判が混ざるので本題はどちらか混乱するが、二十代前半の数年間の経験を基に、軍隊という組織についての考察を深めてゆく強靭な知性と描写の迫力のために一気に読めた。特に「S軍曹の親指」は凄まじい話である。2022/09/23
teitowoaruku
2
百人斬り競争から南京大虐殺の「虚報」についてせまる下巻。それが大本営や新聞社によって作られたまぼろしであることはわかったが、大事なのは、それに踊り狂ったのが国民であったということだろう。脅迫状がきたというように、今もってヤッチマエー、ブッコロセーという国民性ということは著者も認めるところである。過激な報道は、冷静に見て、本当にそうなのか究明する必要がある。見てきたような嘘をつく奴は、今や報道の世界のみならずSNSで巷にあふれている。2024/05/29