内容説明
インド洋で活躍したムスリム航海者が蒐集した驚異に満ちた162の説話を、アラビア語写本から世界で初めて翻訳。イスラーム海域交流史の第一級の史料。第2巻は後半80話と用語集・索引。
感想・レビュー
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roughfractus02
6
本巻は食人の風習の言い伝えに始まり、ダイヤモンドの渓谷、絹の造花で彩られた中国庭園、島の黄金寺院に祀られるソロモンの墓等の、物や地域に関する神秘的な逸話が続く中で、「倭国」という説もある「ワークワーク」なる架空の国のエピソードが何回か出てくる(東南アジアのイメージが集約された地域のようである)。その中で地域の特産物、盗賊の存在、訴訟や裁判の仕方等各国の状況や航海中の日常の記述もあり、地理的位置や年号に関する情報は史実と対応可能なほど正確なものが多いとされる。10世紀東西交渉史に関する解説が詳細で網羅的だ。2022/09/14