内容説明
14世紀初めに書かれたイスラームの歴史書。君主の政治と政策を論じた第1章と、正統カリフ時代からアッバース朝滅亡までの君主・宰相たちの事績を豊富な逸話で物語る第2章から成る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ドウ
2
君主が備えるべき素質(第一章)と、正統カリフ時代からアッバース朝第二代カリフ、マンスールまでの治世および派生する小話(第二章)とから成る君主鑑文学。正統カリフからウマイヤ朝ヤズィード1世までの大まかな通史は知っていたが、ウマイヤ朝末期~アッバース朝初期にも想像以上に数多くの内乱があったことを知った(現代が専門だからと疎かにしてきたが故の無知)。高校世界史だとバグダードを建設したことしか紹介されていなかったマンスールを含め、歴代全カリフに言及している。訳注はやや雑(人物紹介に偏っている)。2017/08/22
kaeremakure
0
正統カリフのウマルが人々に聖戦を命じると、無名の男が「布の分配に不正があったのであなたの命令には従えません」と言ってカリフに釈明を強いるような、素朴で荒々しい「信徒の共同体」が官僚制を整備した帝国と化してゆく様が興味深い(ムアーウィヤが公文書局を設立したのは、使者がカリフの署名入り詔勅を勝手に書き直しているのに気付いたからだという!)。「大変なことが起こったが/決して私は述べないであろう 考えるのは勝手だが/その情報について尋ねないでくれ(下巻p279)」というのはモンゴルのバグダード破壊についてである。2015/04/16




