内容説明
体験談を中心に、古典文学、民話、随筆等から典型的な「ゆうれい話」を集め、分類してその変遷を追う。霊魂現象を客観的に見極めるため編まれた「幽霊体験資料集」。下巻には死霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊、家族・恋人など親しい間柄の幽霊に関する例話を収録。幽霊外伝および巻末索引を付す。 155ページ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
28
幽霊話を「すがたなきマボロシ」「人魂考」「生霊の遊離」「たましいの別れ」「魂の寄集地」「浮かばれざる霊」「死霊の働きかけ」「船幽霊その他」「タクシーに乗る幽霊」「親しき幽霊」「幽霊外伝」と章立てして、今昔物語や遠野物語などの文献、近現代の雑誌新聞からの記事から収集した幽霊話を列挙分析している。筆者の文調はチョットお茶目で、徹頭徹尾幽霊はいるともいないとも言わないスタンスで、それらを見たと人間が思っている事実や習俗などを研究している体である。自分の足で集めたとは言えないが、現在の実話怪談の基礎だろうか。2021/08/21
シガー&シュガー
13
働きかける霊、水難の霊、タクシーの霊、親しい者の霊に分類された下巻は上巻より現代に近い感覚で読めます。読み応えがあるのは外伝とされる最後の章。問題にすべきは幽霊そのものではなく、それを見た感じたとする我々自身の心理・状態のことである、という、この上下巻が編まれた目的の再確認部分でした。今の我々が残酷と感じる(例えば妊婦の腹を裂いて胎児を取り出す)行為は、それらが習わしとして行われていた当時とは感じ方に差があるということ、幽霊を見るのは特殊能力ではなく誰にも起きうる事象であることなど、興味深いまとめでした。2016/08/06
うえ
8
「日露戦争の当時は、満州の戦場では不思議なことばかりがあった。ロシアの俘慮の言葉に、「日本兵のうち、黒服を着ている者は射てば直れたが、白服の兵隊は、いくら射っても倒れなかった」という…白服を着ていた日本兵などはおらぬはずであると、土淵村の似田貝福松という人は語っていた」「第二次大戦で日本軍がマラヤに攻め込んだときの激戦地コタバルに近いカンポンクアラという小さな村の人たちは、首がない三人の日本兵の幽霊におびえている…祈とう師を呼んで、幽霊退治をしようとしたが、祈とう師が来ると幽霊は消えてしまい、お手あげ。」2020/05/15