成長の臨界 - 「飽和資本主義」はどこへ向かうのか

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成長の臨界 - 「飽和資本主義」はどこへ向かうのか

  • ISBN:9784766428346

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内容説明

著名エコノミストが経済・金融の視点からのみならず、政治学・歴史学・心理学などの知見も交えて現況を怜悧に分析し、迫り来る次の世界を展望する、読み応え十分の一書!

目次

はじめに

第1章 第三次グローバリゼーションの光と影

 1 ホワイトカラーのオフショアリングが始まったのか
 2 権威主義的資本主義 vs リベラル能力資本主義
 3 ICT革命と際限のない人類の欲望の行方

第2章 分配の歪みがもたらす低成長と低金利

 1 債務頼みの景気回復が招く自然利子率の低下
 2 常態化する「資本収益率>成長率>市場金利」の帰結
 3 経済成長と社会包摂の両立
 4 テクノロジー封建主義の打破

第3章 日本の長期停滞の真因

 1 「失われたX年」はいつまで続くのか
 2 過度な海外経済依存が招く内需停滞
 3 日本型雇用システムの隘路
 4 日本人は2010年代に豊かになったのか

第4章 イノベーションと生産性のジレンマ

 1 景気回復の長期化と生産性上昇の相剋
 2 日本企業のイノベーションが乏しいのはなぜか
 3 消費者余剰と生産性の相剋
 4 グリーンイノベーションの桎梏
 補論 外国人労働と経済安全保障

第5章 超低金利政策・再考

 1 「デフレ均衡」崩壊までの距離
 2 漂流する日銀の金融政策
 3 公的債務管理に組み込まれる中央銀行
 4 円高回避の光と影

第6章 公的債務の政治経済学

 1 財政政策の復活と進行するMMTの二つの実験
 2 超長期財政健全化プランの構想
 3 人類の進化と共感

第7章 「一強基軸通貨」ドル体制のゆらぎ――国際通貨覇権の攻防

 1 金融イノベーションの帰結
 2 ドル一強とその臨界
 3 「トゥキディデスの罠」を避けられるのか

終 章 よりよき社会をめざして

 1 豊かだが貧しい社会
 2 成長の臨界
 3 コミュニティ再生のためのヒント
 4 多面的にアプローチする視点を持つ


おわりに
参考文献
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

87
非常にいい本であると感じました。ただかなり様々な文献や論文などを参考にしているのでやや論点が広がる傾向があるようにも感じました。このような本の特徴としてやはり過去の分析が中心となるようですが(非常に地道に分析されていて私の好きな高橋亀吉翁の著作を思い出しました)、もう少し今後の日本の財政政策や金融政策のかじ取りなど方向性を明確にしてもらいたい気がしました。2023/06/11

速読おやじ

17
超硬派な経済書で満足度極めて高く、著者の信条みたいなものも垣間見れる。リモート化によるホワイトカラー業務のオフショアリング、経済学はGDPではなく経済厚生(総余剰)を重視、事実上MMT実験が米国で進行中(日本は円が国際通貨でなくなれば不可能)など気になった言葉(他にも満載)。公的債務問題解決のための消費税小刻み増税案(2年に1度0.5%ずつ)はリアリティーある政策だと思った。潜在成長率より低いので実質所得は増加するのだ。超長期だが財政問題は解決できるのではないか。社会は世代間の協同事業という言葉が重い。2023/01/23

Mc6ρ助

15
これもまた必要な情報を網羅しているだろう好著。惜しむらくは読み手の爺さまの及ばないところが多くすべては消化できない。とはいえ敵基地攻撃の財源に困らず社会保障の財源のない日本政府の元でこの日本の取るべき方向がコミュニティの再生というのはよいのしてもそのための財源、リソースはどこにあるのだろう?『過去50年間、円高回避に日銀は注力してきた。 遠くない将来、超円安を止められなくなる日が訪れるのではないか、心配である。(p257)』2023/04/05

原玉幸子

15
推薦された気鋭の経済学者の本。浅~い自身の知見で言えば「市場動向と経済循環のメカニズム」「グローバリゼーション」「資本主義形態の変容」の三要素を複合的に時間差と偏在性を加味すれば全てを語ることが出来、だから例えば、潜在成長率・自然利子率も、プロダクト/プロセスイノベーションも、円安の良し悪しやMMT他の経済用語も、些細些末なそれらの形容や言い換えだけの気がします。経済学は「思考」ではなく「分析」でしかないので後付けで何とでも言えそう。良書であっても感想がポジティブになるとは限りません。(◎2023年・春)2023/03/04

Kooya

5
長期停滞や社会保障といった様々な観点から日本経済を鳥瞰した本。個人的には第5章「超低金利政策・再考」と第6章「公的債務の政治経済学」が印象に残った。前者では日本の莫大な公的債務残高が可能となっている理由や円安への是非について学べたのが良かった。後者では「消費税増税と社会保険料の引き下げ」というパッケージが社会保障給付の権利性を担保したまま逆進性の緩和と高齢者から現役世代への再分配を実現し、予備的動機に基づく貯蓄を消費へ向けられるという点が自らの考えと似ていて興味深かった。(コメント欄へ続く)2022/09/18

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