よくわかるパーソナルデータの教科書

個数:1
紙書籍版価格
¥2,640
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

よくわかるパーソナルデータの教科書

  • ISBN:9784274228650

ファイル: /

内容説明

パーソナルデータを「正しく」活用するための教科書
パーソナルデータとは、個人を識別したうえで収集されたデータのことです。たとえば、ECサイトで買い物をしていると、自分がカートに入れたものに関連するおすすめ商品が出てきたり、検索エンジンでの検索結果が自分と友人とで違ったりするのは、パーソナルデータとして「自分や友人が識別されたうえで集められたデータ」の活用によってサービスが作られているからです。
パーソナルデータは世界中のさまざまなサービスで活用されていて、企業は利益を効率的に改善できるようになり、ユーザーは個々人にとって適切なサービスを受けられるようになりました。

その一方で、パーソナルデータの利用目的や手段によっては、法的あるいは倫理的な課題にぶつかり、議論となることが多々あります。場合によっては大きなニュースとなり、企業イメージを低下させ、ユーザーの生活に悪影響を与え権利を侵害する恐れすらあります。これらは個人が識別されることによっておきる弊害です。

本書は、以上の背景のもと、パーソナルデータの適正な利活用に必要な基本事項を提示するものです。
リスクを回避し、「有用性」と「ユーザーのプライバシーや第三者の権利の保護」とを両立しながらデータを活かすにはどうしたらよいのか、法律・倫理・技術などの複数分野を横断しながら、多角的に解説します。

本書のおもな読者対象は、パーソナルデータを活用するサービスのプロデューサー、マネージャー、ディレクター、そして実際にパーソナルデータを処理する、いわゆるデータサイエンティストや機械学習エンジニアなどです。
ほかにも、パーソナルデータを使ったサービスを提供する企業の社会人であれば、それ以外の職種の方(企画、広報、営業など)にも有用な内容です。
また、自分のパーソナルデータがどのように活用されているのか気になる一般のユーザーの方にもおすすめです。

■本書の特徴
・法的な側面だけでなく、倫理やセキュリティや技術に関するものや、意図せずして社会に与える影響など、周辺知識を幅広く解説します。
・Web業界を例として、職種問わず共通認識として把握しておきたいことを網羅的に解説します。
・実際にサービスをつくるときに考慮すべき事項を、表とフローチャートを用いて解説します。

目次

はじめに/目次

第1章 パーソナルデータってなんだろう?
 1.1 パーソナルデータの定義
 1.2 パーソナルデータでできること
 1.3 本書の構成

第2章 パーソナルデータの事件簿
 2.1 知られたくないことを知られる・利用される
 2.2 公的機関から監視される
 2.3 自分のデータが利用されることへの同意の有無と実態
 2.4 誰でも手に入るデータによる問題
 2.5 過剰なデータ取得に対する拒否感
 2.6 パーソナルデータの「値段」

第3章 パーソナルデータ活用の分類
 3.1 個人情報? 個人データ?
 3.2 個人情報
 3.3 ところで「パーソナルデータ」とは?
 3.4 「誰が」「なにから」「なにを」「なにに」?
 3.5 《処理結果》を深掘りする
 3.6 「誰と」「どこまで」?

第4章 パーソナルデータまわりの権利や決まり
 4.1 著作権
 4.2 限定提供データ
 4.3 通信の秘密
 4.4 複合的に考えるべき事例
 4.5 顔画像による個人認証や本人確認

第5章 データ収集と処理に使われる技術
 5.1 通信技術と個人情報の関係
 5.2 個人の特定と個人の識別のしくみ
 5.3 個人を特定せずにデータ活用するための技術
 5.4 情報科学的な理論に基づく技術

第6章 「信頼できるサービス」の構造
 6.1 「信頼」の難しさ
 6.2 信頼概念の整理
 6.3 企業に対する「安心」のもと
 6.4 「使われるサービス」と「受け入れられるサービス」

第7章 プライバシー・リスク・倫理
 7.1 プライバシーの懸念と消費者の行動
 7.2 パーソナルデータのリスク
 7.3 パーソナルデータと倫理

第8章 パーソナルデータの「正しい」活用のフロー
 8.1 データ分析の目的と手順
 8.2 データの利用基準はいつ考えるべきか
 8.3 データ利用基準の実例
 8.4 データ利用基準実施手順

第9章 パーソナルデータ活用の応用事例
 9.1 【自社データの自社利用】自社で収集したデータを情報推薦に活用する
 9.2 【グループ会社データの自社利用】ユーザーの行動ログなどを用いて論文を書く
 9.3 【自社データの外部利用】コミュニケーションデータから違反行為の予兆を発見する
 9.4 【外部サービスによる自社データ取得】アンケートと行動ログを合わせて活用する
 9.5 【自社データの外部利用】アンケート調査結果と行動ログを
用いて共同研究を行う
 9.6 【自社データの外部利用】ハッカソンの課題としてパーソナルデータを利用する
 9.7 【外部データの自社利用】投稿コンテンツから特定商品への言及を抽出してレポートする

第10章 パーソナルデータがもたらす副作用
 10.1 社会の偏りの増大
 10.2 統計的差別
 10.3 情報接触の偏り
 10.4 社会関係の偏り
 10.5 ヘイトスピーチ対策システムが生み出してしまう差別
 10.6 ステレオタイプの強化
 10.7 マイクロターゲティングの弊害
 10.8 おわりに

索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Yuichi Tomita

7
工学系、情報科学などの先生方による書籍。珍しく弁護士、法学系の著書ではない所が良い。全体的に法律絡みの記述はちょっと甘いと感じるが、そこに価値を求めるものでは無いのだろう。 もっとも「個人情報」の定義は正しくなされている。 第5章の「データ収集と処理に使われる技術」が、平易にデータ処理の技法を解説しており、良い。また、第6章の「信頼できるサービス」の構造も、法律ばっかり見ていると全く意識することの無い信頼概念の説明があり、どのようにユーザーと信頼関係を築くかのヒントがある。2022/08/16

ireadertj

2
個人に関する情報から個人情報などの分類がとてもわかりやすかった。また実務で結構ありそうな事例をもとに説明があり、これまで業務のなかでなんとなくそうだろうなと思っていたことが具体的に言語化されていて参考になった。2023/02/13

まさやん510

2
パーソナルデータに関し、法律、技術、倫理等の各側面から解説している。弁護士や法学者ではない技術畑の人(ほぼサイバーエージェント所属)が書いた書籍だけあって、技術面での技術の比重が高く、そういう見方・考え方をするのか、と、新しい発見が色々とあった。改めて、個人情報保護法はじめデータ関連法って、技術面の知識が必須だと痛感。 他の方も指摘している通り、法律面での解説には、ちょっとあれ?と思うところはあったので、弁護士や法学者も含めたハイブリッドな執筆陣による書籍などが出ればニーズがあるんじゃないの?と思った。 2022/08/19

けんおじ

1
パーソナルデータと個人情報の違い、法的論点が整理されていて良いが、所々学術的な話が入ってくるなど難しい点もあった。技術的な説明はほぼ理解できなかった。後半は実務担当者でも使えそうなデータ分析のフローや「権利判断マトリックス」が紹介されており、参考になる。2024/11/20

お抹茶

1
個人情報とそれに該当しないパーソナルデータとの間に,個人特定可能性,容易照合性,属性推定の可能性というグレーゾーンがある。一元的にパーソナルデータの取り扱いを監督する第三者機関の設立で,日本も国際的なプライバシー外交サークルに入れる。自己情報コントロール権を最高裁は認めていないが,アカウンタビリティの確保は必須。2019/10/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19921777
  • ご注意事項

最近チェックした商品