内容説明
隠され続けたのは、私たちの「声」なんだ――。
「一億玉砕」から「民主主義」へ――。言葉は変われどその本質は変わらなかった戦後の日本。そんな中、それを言われると世間が困るような「声」を持つ人たちがいた。酒におぼれる小説家・上原、既婚者・上原を愛するかず子、麻薬とアルコール中毒で苦しむ弟・直治。1947年に発表され爆発的ブームを巻き起こした『斜陽』に描かれる、生きるのが下手な彼らの「声」に、太宰治が込めた思いとは何だったのか。彼らが追い求めた「自分の言葉で」「真に人間らしく」生きるとはどういうことなのか。太宰が「どうしても書きたかったこと」に作家・高橋源一郎が迫る。秀作『散華』に焦点をあてた書下ろし特別章「太宰治の十五年戦争」収載。
*電子版では、権利上の理由により一部収録しない写真がございます。ご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
esop
62
太宰治の小説を読んでいると、だんだん胸が痛くなってくる。なにしろ、出てくるやつはどいつもこいつも「生きるのが下手」な連中ばかりだからだ/「考え」すぎなのが大宰の真骨頂/太宰は「民衆の集合的無意識の体現者でもあった」/時代に先んじて、これからやって来るものを、書いてしまうこと。ほんとうに優れた作品には、そんな「予知機能」のようなものがあるような気がする/人間は恋と革命のために生まれてきたのだ/「人形」から「人間」へ飛躍するためには、それほどの力を必要とするんだ/耳をかたむけるべきなのは、女たちの「声」なんだ2024/09/15
きみたけ
48
ちょっと息抜き。NHK100分de名著から2015年に゙放送された「太宰治《斜陽》」のテキストを底本として加筆修正した高橋源一郎氏解説の一冊。太宰治の代表作ながら読んだことがなかったので勉強のつもりで読みました。太宰治の主要作品が戦時中の検閲吹き荒れる最中に書き上げたとのことで、他の作家が執筆に二の足を踏む中に堂々と世の中に作品を送り出した太宰の姿勢に感服です。終わりにで、太宰の才能をモーツァルトと似ているとの記載には納得しました。2024/04/21
ころこ
38
2015年に放送されたテクストを元にして、特別章を付して昨年、出版された。NHKのテクストではあるが、高橋源一郎の本として受け止めることができるだけのユニークな語り口の「はじめに」がある。ほぼ誰もが読んだことのある小説をどう語り、論じるのか。そのことは著者も意識している。最も読まれている日本の小説として、新しい事実や読み方はあまり無く、読者と目線を同じにしている。手紙の告白のような、吐息が分かりそうな文体で書いているのが特徴だ。著者の読みは思いのほか政治的だ。主要登場人物を女性2名、男性2名に分け、抑圧さ2023/05/21
Iwata Kentaro
9
外れのない100分シリーズで。太宰のよい読者ではないですが、高橋源一郎が太宰を語るのがとても良いと思いました。いつか太宰もゆっくりと読みたい。2023/06/14
takakomama
6
「100分de名著」のNHKテキストに「ブックス特別章 太宰治の十五年戦争」を追加。太宰は作家としての生涯のほぼすべてを「戦争の時代」に過ごしたそうです。戦時とは、戦争に反対すると言えない時であり、国家に従わなければ仕事をなくしてしまいます。恐ろしい・・・2023/01/24
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