ちくま文庫 プロ野球新世紀末ブルース ――平成プロ野球死亡遊戯

著者名：中溝康隆【著者】

筑摩書房（2022/08発売）

• ISBN：9784480438065

内容説明

平成を彩った名選手から伝説の試合、球界の大事件、忘れられないバイプレイヤーや珍エピソードまで、“平成プロ野球”を総括したコラム集。文庫化に際して、とんねるず、ファミスタ、ＴＶドラマ、女子アナなどの平成カルチャーと新世紀末プロ野球の危険な蜜月関係に迫る書下ろしコラム４編も新加入。平成の名場面を圧倒的偏愛でまとめた「球界年表」も収録する。

目次

はじめに
１回　新世紀末大スターブルース
「とんねるず」と「秋山、清原、デストラーデ」がいた時代
1993年の松井秀喜　高卒ルーキーで平成唯一の二桁本塁打！
オリックス時代のイチロー　通算打率・３５３、７年連続首位打者
原辰徳　90年代最もプロ野球選手に憧れられたスーパースター
落合博満　引退試合を拒否、静かに現役生活を終えた元三冠王
新庄剛志　23歳の引退宣言、二刀流挑戦、自由すぎた90年代
場外コラム清原和博ＤＶＤ『怪物伝説』
２回　新世紀末バイプレイヤーブルース
大森剛　平成プロ野球で最もツイてなかったドラ１
パンチ佐藤　伝説のドラフト会見から球史を変えた登録名変更
長谷川滋利　ドラフトは就活〝職業・プロ野球選手〟を選んだ男
デーブ大久保　シーズン中に異例の臨時ボーナス2000万を手に入れた男
元木大介　落合から認められ、長嶋監督から愛された〝クセ者〟
場外コラム長嶋一茂の壮絶な野球人生
３回　新世紀末プロ野球事件ブルース【20世紀編】
小池秀郎　ドラフト８球団競合、絶対行きたくない球団に引かれた男
1993年のＦＡ狂騒曲　長嶋監督が槙原に花束持参で交渉
〝10・８決戦〟前夜　10・７の夜に巨人三本柱に何が起こっていたのか？
ガルベス　審判暴投事件、長嶋茂雄が〝坊主〟になった夏
2000年ＯＮ日本シリーズ狂騒曲　20世紀のプロ野球〝最後の祭り〟
場外コラム鉄の意志を持つ男　福留孝介
４回　新世紀末名選手ブルース【投手編】
1989年の斎藤雅樹　万年トレード候補から〝平成の大エース〟への覚醒
伊良部秀輝　記録より記憶に残った〝剛腕投手〟
上原浩治　〝雑草魂〟衝撃デビューを振り返る
佐々木主浩　脱走に規則無視、若手時代の豪快すぎる伝説
黒田博樹　神ってる広島25年ぶりＶ、広島愛を貫いたガチな男気
５回　新世紀末助っ人ブルース
ラルフ・ブライアント　４打数連発弾で悲願のＶ、1989年の近鉄バファローズ
グレン・ブラッグス　脅弾連発、Ｂ砲のパワーの源とは？
アレックス・ラミレス　日本で監督にまで登り詰めた〝世界一性格のいい男〟
バレンティン　日本球界初!!　神宮60本塁打狂騒曲
場外コラム映画『ミスター・ベースボール』
６回　新世紀末名選手ブルース【野手編】
松井稼頭央　平成球界を駆け抜けた〝スピードスター〟
中村紀洋　熱狂的野球ファンが〝いてまえスラッガー〟になるまで
古田敦也　幻に終わった〝日本ハム・古田〟、ヤクルトで平成最強捕手へ
小久保裕紀　優秀な弟に嫉妬、投手クビの青学時代、叩き上げの侍ジャパン監督
小笠原道大　高校通算０本塁打、給料10万円、2000年代最強打者の苦労人時代
前田智徳　落合やイチローが認めた〝傷だらけの天才〟
場外コラムＳＷＥＥＴ　19　ＢＬＵＥＳ　坂本勇人
７回　新世紀末プロ野球事件ブルース【2000年代編】
日韓Ｗ杯サッカーvsプロ野球　2002年、サッカー代表戦の日は野球はお休み？
2002年の松井秀喜　50本塁打を放った巨人の４番がメジャー移籍へ
2004年の球界再編　プロ野球初のスト決行と松中信彦の三冠王
賭博事件で巨人に激震　高橋由伸、引退即監督に
８回　新世紀末名監督ブルース
森祇晶　理想の上司が作り上げた〝西武黄金時代〟
長嶋・巨人vs野村・ヤクルト　90年代最大の因縁の対決
大沢啓二　〝親分旋風〟のきっかけは〝日本ハム・王監督〟プラン？
仰木彬　名将の阪神監督就任が実現しなかった意外な理由
原・巨人vs落合・中日　若大将VSオレ竜、しのぎを削った平成の名勝負数え唄
場外コラム映画『走れ！イチロー』
９回　新世紀末プロ野球グローバルブルース
野茂英雄とＮＯＭＯ　トルネードの挑戦と開拓、唯一の日米新人王
ダルビッシュ有vs田中将大　日本〝最強〟投手決定戦が東京ドームで実現した夜
侍ジャパンＷＢＣ連覇！　孤高の天才から〝人間イチロー〟へ
延長戦　新世紀末カルチャーブルース
僕らが「とんねるず」という〝部活〟に入部していた、あの頃
平成・ファミスタ・ベイビーズ　野球ゲームの雄にパワプロ、ウイイレが直撃
プロ野球が月９ドラマの常連だった時代　『ヒーローインタビュー』の鈴木保奈美と真田広之
女子アナとプロ野球　みんな夢中、なんてったって平成球界の〝アイドル〟
場外コラム1999年の松坂大輔
解説　ＴＢＳアナウンサー　熊崎風斗
平成球界年表ブルース
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[岡本]

Kindle。ハードカバー版を持っているのに文庫版と知らずに購入。2019年に纏められたコラムなので少し古い内容となっているが、平成時代の出来事を纏めている部分は特に気にならない。著書内にもあるが今年のWBCでは出場選手の多くが2009年のイチローのタイムリーを見ているのでWBCに参加できる事が光栄とコメントしていた。嘗て程の野球人気は無いものの令和の怪物達によって少し盛り返している様な昨今。イチローや松坂の成長を見れなかった分、村上や佐々木朗の成長を目に焼き付けねば。

2023/02/26

[ケイトKATE]

不定期ながらラジオで放送している『特集プロ野球死亡遊戯』に解説している著者の本ということで手に取った。本書は、平成のプロ野球史を選手を中心に書いたコラム集である。私はこの時代を生きた一人として、当時流行ったカルチャーを挟んだコラムに夢中で読んだ。特に1990年代、長嶋茂雄が監督ということで、未だに巨人中心に回っていたメディアに苦々しく感じていた。そんな時代に登場したイチローは衝撃的だった。いとも簡単にヒットを量産して首位打者を取り続けた上に、アメリカへ渡りメジャーでも数々の記録を打ち立てたからである。

2022/09/13

[マッちゃま]

同じ時代を歩んだ野球ファンが激しく同意できる野球コラム集。まあ〜いろいろあったよね、平成って。夢中でプロ野球を観てた頃もあったし、醒めた目で見てた頃もあった。また野球以外のスポーツやエンタメに夢中になってた頃もありました。まあ〜思い返せば色々あったけど、面白い時代だったと思います。そういえばファミスタ、高校時代にハマって買ったら学校サボって友達とやってましたね。とんねるずも大好きで番組よく観てました。平成の野球、そして当時の若者(馬鹿者？)の生活の一部を切り取ったバカ話し。令和の今、楽しく振り返れました。

2022/05/28

[ベローチェのひととき]

妻が買ってきてくれた本。平成時代のプロ野球に関して当時の世相や作者の趣味を交えて綴ったエッセイ及びコラム。とても面白かった。当時はプロ野球にあまり関心が なかったため、知らない内容が多かった。今は息子の影響を受けて楽天ファンである。毎日楽天の勝ち負けに一喜一憂している。本日10月9日は勝った方がCS進出となるロッテとの最終戦！　ガチンコ勝負。胸がドキドキする。頑張れ、小郷、小深田、村林、辰巳！

2023/10/09

[Katsuto Yoshinaga]

「ミスターを丸坊主にしたガルベス」「斎藤正樹と山内孝徳のトレード話」「はやりのアイドルがタイプという選手が多かった中、ゴジラだけ色白ぽっちゃり型が好き」といった平成の野球ネタ満載の本書。特に、固そうに見えていた森祇晶氏がチーム練習が当たり前のオフ日を完全休養日にし、コーチにも選手を連れ出させないようにしていたということは知らなかった。そして、「俺たちの時代はこうだった」的な話は絶対しないと決め、勇退後は球界のご意見番的立場を嫌いハワイ移住だと！そんな素晴らしい人格者とは！！なかなかイイ野球ネタ本である。

2022/05/12