内容説明
終戦後、満洲から引き揚げた宗方家。節子は失業中の夫、病床の父に代わって酒場を開く。妹・満里子は慣れない商売に疲弊する姉を歯痒く思うが、そこへ節子の昔の恋人が現れて……。美しき姉妹を中心に、敗戦後の日本で時流に乗って生きる人と目標を失った人、それぞれの生き方と葛藤が描かれる。小津安二郎監督の映画原作でも知られる長篇に、最晩年に執筆した「序の章」を加えた決定版、初文庫化。巻末に「映画「宗方姉妹」を見て」を付す。〈解説〉與那覇 潤
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
17
本作は昭和25年に小津安二郎監督で映画化されているらしい。キャストは田中絹代、高峰秀子、上原謙、高杉早苗、笠智衆、山村聰、藤原釜足など錚々たるメンバーだが、あいにく私は観ていない。以前、鎌倉の大佛次郎さんのかつての邸宅を訪れたことがあるが、あまりこの人の本は読んでいなかった。大変な猫好きで一度に11匹だったか飼っていたはず。大佛作品いえば『 鞍馬天狗』シリーズから『ドレフュス事件』『パリ燃ゆ』『天皇の世紀』ぐらいしか知らないが、それ以外に『帰郷』は確か読んでいる。本作を一読するに大変な名作ではないかと2025/05/28
シュトラウス
2
大佛次郎の作品をきちんと読むのは初めて。父である忠親の言葉がすべて書き留めておきたいくらいに刺さる。忠親や節子、満理子、宏、亮助、前島、頼子が見る景色にそれぞれの心情を重ねる描写が美しい。こんな日本語が読みたかったと思わせてくれる。また読み返したい作品が増えた。2025/04/24
なおぱんだ
1
敗戦後の急激な時代の流れに身を任せるようにつつましく生きようとする姉と、奔放で自分の生きたいように生きようとする妹の対照的な姿を見守る、病により死期を悟った父親の達観を描くことで、戦争という激動の時代を耐え抜いた新しい時代の明暗が伝わる作品でした。一家の生活を支える姉妹と事業に成功した青年に加え、青年とフランスで知り合った未亡人との愛人関係や、一家を支えようとする兵隊上がりの純朴な男の姿を絡めながら、時代に取り残されまいと前向きに生きようとする家族の人間ドラマとしての深みを感じさせてくれる作品でした。2023/03/30
双六
1
戦争に負けて変わってしまった日本人の美意識。宏、かっこよすぎ節子奥ゆかしくて昭和です。2023/05/01
omi
0
戦後の東京と京都はだいぶ違うのだなあ。何に縋ればいいのかこの時代。対照的な姉妹や脇を固める人たち、いろんな人の境遇が思い浮かばれる。2024/07/16
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