内容説明
今日、地域生活を永続的に確保するための知恵と方法が必要であるとの問題意識のもとに、地域における社会システムとして意思決定支援のあり方を明らかにする。『公私で支える高齢者の地域生活』(小社刊、全三巻)を刊行し、社会システムとしての意思決定サポートシステムの意義や課題を問題提起したが、本書はこの一環である。
目次
はしがき
第1部 地域社会の課題とアプローチの視点
第1章 意思決定サポートシステムの社会実装――理論と実践[成本迅]
1 はじめに
2 医療分野における意思決定支援
3 医療分野以外への応用
4 民間企業での取り組み
5 行政の取り組み
6 その他の話題
7 まとめと展望
第2章 意思決定支援に関する社会の実態[東海林崇]
1 意思表示が困難な人たちの現状
2 意思決定支援に関する制度および実情
3 地域社会の中で意思決定を支援する仕組み
第2部 民法の制度と社会システム
第1章 診療契約と医療同意[石田瞳]
1 問題の所在
2 現状と課題
3 展望
4 おわりに
第2章 身上監護の支援――民法と社会福祉[渡部朗子]
1 はじめに
2 成年後見制度と地域包括ケアシステム
3 基本計画における意思決定支援
4 国連障害者権利条約における意思決定支援
5 諸外国の意思決定支援
6 若干の考察
7 おわりに
第3章 財産管理の支援――信託と成年後見[福田智子]
1 問題の所在
2 現状と課題
3 比較法研究からの示唆
4 展望
第4章 人生100年時代の資産活用[村田一馬]
はじめに
1 問題の所在
2 現状と課題
3 展望
第3部 行政法と民法の視点
第1章 不利益処分の相手方――「意思能力に欠ける者」の行政法関係[北村喜宣]
1 行政法制度の前提と問題の所在
2 ある仮想事例
3 成年後見人の選任がある場合とない場合
4 市町村長申立てによる成年後見人選任
5 新たな法制度の可能性
第2章 民法からのアプローチ――寛容の民法論[小賀野晶一]
1 はじめに
2 民法の歴史的展開
3 民法大宇宙の形成
4 寛容の民法論――人間尊厳の本質を求めて
5 寛容の民法論と身上監護アプローチ
6 寛容の民法論の課題――永続的地域生活と環境民法論
7 結び――民法の再定義