内容説明
弔いは、亡くなった者のためにするんじゃない。
遺された者のためにするんだ!
死を蔑ろにするということは、
生を蔑ろにするということだ。
(本書解説より)
文芸評論家 北上次郎
「人の死で飯を食う。それがあっしの生業」
新鳥越町二丁目に「とむらい屋」はある。
葬儀の段取りをする颯太、死化粧を施すおちえ、渡りの坊主の道俊。
時に水死体が苦手な医者巧先生や奉行所の韮崎宗十郎の力を借りながらも、
色恋心中、幼なじみの死、赤ん坊の死と様々な別れに向き合う。
十一歳の時、弔いを生業にすると心に決めた颯太。
そのきっかけとなった出来事とは――。
江戸時代のおくりびとたちを鮮烈に描いた心打つ物語。
【とむらい屋で働く人々と仲間たち】
颯太:新鳥越町二丁目の葬儀屋の店主。十一歳で葬儀屋になると決める
おちえ:母を颯太に弔ってもらって以降居座るおせっかい
勝蔵:早桶職人。初めての棺桶は妻のものだった
道俊:寺に属さない渡りの坊主
巧重三郎:水死体を見るのが苦手な医者
韮崎宗十郎:南町奉行所の定町廻り同心
【目次】
第一章 赤茶のしごき
第二章 幼なじみ
第三章 へその緒
第四章 儒者ふたり
第五章 三つの殻
第六章 火屋の華
解 説 北上次郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
51
いずれお世話にならねばならない葬儀屋、と、読み友さんが読みたいとされてた本を一足お先に頂きました。このとむらい屋の従業員・・江戸時代だから従業員とは言わないが、それぞれが深い哀しみを背負っている。生きる事、死を迎える事それぞれを真摯に受け止めて冥土に旅立ちたいものである。それこそ葬儀を派手にしても人から忘れられる死後もあれば、いつまでも悪態をつかれる死後もある。冥土とやらへ行って帰ってきた人はいない。今は墓も要らん仏壇も邪魔と。江戸時代の火事で焼かれた人と同じように無縁仏を望む人が増えたのは何故だろう2023/08/24
のびすけ
22
死者の想いを掬い取り、あの世へ送り出す。颯太が弔いを生業にすると決めた過去の出来事が切ない。2023/07/01
ごへいもち
9
あまり好きになれないキャラなので続きは読まずに2023/07/06
kmzwrs5781
4
とむらい屋を営む颯太は弔うという立場を重要に思う。弔いとは残された者たちのためのもの。「へその緒」と「儒者ふたり」は弔いを題材にする作品として必ず読むべき。電車では読んじゃだめなやつ。2025/02/05
夏月
4
弔いは、残された者のためにある、まさしくそうだ。様々な人の死に、その人の人生が色濃く湧き上がり、涙2022/07/14
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