純愛 エセルと陸奥廣吉

著者名：下重暁子【著】

講談社（2022/07発売）

• ISBN：9784062073561

内容説明

17年間、互いに待ち続けたエリート外交官と英国女性との大ロマン！　日清日露の戦争、関東大震災、大きくうねる歴史を背景にした大絵巻！！　明治の中ごろに外相になった元勲・陸奥宗光（むつむねみつ）は有名だが、その長男の廣吉（ひろきち）のことはあまり知られていない。宗光の外相就任の少し前に、廣吉は英国に留学した。1887年のことである。その翌年、彼は一人の女性に出会う。エセル・パッシングハムという、一つ年上の女性だった。廣吉は20歳である。交際が始まり、二人は互いに憎からず思うようになる。帯英中のある時期から、廣吉は日記を英語でつけた。毎日欠かさず克明に書き続けた。

●桜の花の咲く頃、一人の女がイギリスから日本に着いた。ケンブリッジに留学した一人の男との約束を守って。知りあってから二十年近い歳月が流れている。電話も飛行機もない時代、二人を結びつけたのは、愛をまっとうする強い意志の力だった。死にいたるまでその意志は続く。一瞬の間に燃え上がる恋も、偶然の出会いに忘れがたい愛もある。しかし、もっとも難しいのは、意志を持続することだ。「ある恋の物語」はいくらでもあるが、自分の生き方を懸けた愛に出会うことは少ない。「純愛」という言葉には、一筋の思いがあり、意志がある。そこには私たちが忘れてしまった夢がある。　――「はじめに」より

目次

プロローグ
第1章　エセル
第2章　確かな愛
第3章　再会
第4章　逆風
第5章　結婚
第6章　新たな生き方
第7章　愛の冒険者
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[ホレイシア]

小っ恥ずかしい題名だが、中身は笑えますぜ。陸奥宗光のバカ息子の恋愛話。

2008/01/06

[huan]

陸奥宗光の長男の廣吉とイギリス人女性のエセルとの物語である。付き合ってから結婚まで18年近くお互いに愛の気持ちを抱き続けていた。しかも、その時代にはネットはもちろん、電話も飛行機もなかった……まさしく著者が書いたように、「一瞬の間に燃え上がる恋も、偶然の出会いに忘れがたい愛もある。しかし、もっとも難しいのは、意志を持続することだ。」 廣吉はイギリス留学時代から逝去まで1日も休まず日記をつけていたらしい。その日記にはエセルのことがよく書かれたようで、戦前エリート層の男性の日記として珍しい例かなと思う。

2020/12/15

[カチ]

陸奥宗光の息子である外交官と、イギリス女性による明治時代の国際結婚ということで、ロマンスに期待して読み始めたが、結婚後の生活の方が印象に残った。病弱な廣吉は44才の若さで仕事をリタイア。どちらかに合わせるというより、お互いの個を尊重して暮らしていたようだが、もともと健康だったエセルが廣吉より早く亡くなったのは、それでも日本で暮らすストレスが大きかったのかなと思った。

2015/04/07

[ゆずこまめ]

陸奥宗光の息子ですが、親の七光りと恋愛しかない人生・・・時代を考えたら、国際恋愛を貫いただけでもたいしたものなのかもしれないけど、男としては興味が持てません。読みながら何度「勉強しろ」「仕事しろ」とつぶやいたことか・・・

2011/07/24