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内容説明
1989年、北京市内では民主化を求める市民がデモを繰り返していた。李鵬首相ら守旧派が戒厳令布告を求める一方、民主派の趙紫陽総書記はそれを拒否し、市民との直接対話を試みる。だが政府は趙を意思決定の場から外して武力制圧に乗り出し、結果多くの死者が出ることに(天安門事件)。趙紫陽は追放され、2005年に亡くなるまで16年も自宅に軟禁されるが、その間彼は事件の経緯や自らの思いを多くのテープに秘かに録音していた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うたまる
1
「六月三日の晩、家族と一緒に庭で過ごしていると、激しい銃撃の音が聞こえた。世界に衝撃をあたえる悲劇を未然に防ぐことはできなかった。ついに起きてしまったのだ」……1989年の天安門事件で失脚した趙紫陽総書記の回顧録。予想通りではあるが、終始一貫「あいつらが悪い、私は悪くない」の論調で鼻白んだ。本当のところ、内実はそんなに正邪がはっきりしている訳ではない。「法も天も恐れない」と規則や倫理を無視する慣習が蔓延り、「二倍の努力で半分の成果」とデタラメな計画を恥じないのが中国共産党だ。どっちもどっち感は拭えない。2022/12/28