内容説明
カラフルな絵文字に隠語の数々、派手な宣伝文句が氾濫するSNSや、秘匿アプリを通じて、今日も違法薬物が売られている。親に隠れて手を出すのは中高生や大学生、売人もまたごく普通の若者たちだ。スマホを介した「密売革命」によって、子どもたちの薬物汚染は近年、急速に蔓延している。ひと昔前とは様変わりした最新ドラッグ事情から、安易な誤解で広がる大麻の脅威まで、元「マトリ」トップが実例とともに徹底解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だまし売りNo
33
インターネットが依存性薬物販売の温床になっている。大麻を野菜、覚せい剤をアイスとするなどインターネット上で隠語を使って販売されている。野菜やアイスという通常の食べ物を隠語とすることは、違法薬物との自覚を失わせ、安易に購入させる悪辣な手口である。危険ドラッグを脱法ハーブ、脱法ドラッグ、合法ハーブ、合法ハーブ、お香と称して販売する手口から一貫している。本書は大麻解禁論に反論する。大麻は酒や煙草にはない幻覚作用を持ち、反社会的行動への端緒となる。 2023/02/19
みこ
28
元麻薬取締官による現代社会の薬物汚染について。著者の本は二冊目で前回(マトリ)は取締官時代の反社会的組織との攻防を刑事ドラマさながらに描いていたのだが、本作はまさに現代社会の闇を描いている。薬物犯罪に関わるものが使う側だけでなく売る側までも低年齢化している現状に愕然とする。大麻についても初めはビールを飲み始めた人が後に様々なお酒に手を出すことに例えているので分かりやすく危険なものと認識できる。私も大麻が煙草より安全な物と言うなら煙草を規制したほうが良いと思う。2022/09/04
アーク
7
ドラッグが自己責任では済まされないほど自身や他者に対して大きな影響を与えることがよく分かる。そしてその沼に落ちたら、這い上がるのは容易ではないことも。某元総理夫人のように大麻解禁論を持ち出す人たちは、こういう本を読んでその是非について再考する必要があるだろうな。ドラッグの恐怖について克明に触れた一冊。2022/10/04
shige
7
月並みだけど薬物の怖さに震える。 そして未成年がTorまでスマホにダウンロードすることや、Twitter上の密売に係る隠語も絵文字を多用していて罪悪感のなさを感じて気持ち悪い。 Telegramは知ってたけどこんなに秘匿性のメッセージアプリがあることも知らなかった。2022/08/01
モルテン
6
元麻薬取締官が解説する最近の薬物乱用の現場。大麻が「カジュアル」になり、若年層を中心に大麻乱用が激増。そして、大麻を入口として他の薬物に手を出す事例が恐ろしく、読んでいて震える。そこに使われるツールはSNSであり、最近の特殊詐欺のことを考えても、SNSの使い方は子供や若者につききりで教えなければならないものだと思った。ところで、乱用者の事例に著者が最後に「全面自供となった」と、その職業だからこその感想で結ばれてて、そこが驚きだった。乱用者の話をその意識で聞いている職業なのだな。2023/02/11