岩波科学ライブラリ―<br> カイメン すてきなスカスカ

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岩波科学ライブラリ―
カイメン すてきなスカスカ

  • 著者名:椿玲未
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 岩波書店(2022/06発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000297066

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内容説明

脳も心臓も胃腸もない.どこを切ってもスッカスカ.動物?植物?そもそも生物? 海に行けば普通にいるが,印象が薄い.そんな存在感のないカイメンが,じつは生態系を牛耳る黒幕だった?! サンゴ礁の海も世界一透明な湖も,彼らなしには成り立たない.人間も紀元前から利用してきた.ジミにすごい正体にせまる.【カラー頁多数】※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

はじめに
カイメンギャラリー
カイメンの世界
暮らしのなかのカイメン
カイメンの生活環
第1章 ヒトとカイメン
歴史の影にカイメンあり
カイメン漁師の栄枯盛衰
甘くはない養殖への道のり
カイメンから薬をつくる
カイロウドウケツの契り
美しいだけではない、形に隠された意味
〔COFFEE BREAK〕那覇の繁華街でカイロウドウケツに出会う
第2章 生き物としてのカイメン
スカスカの体は何のため?
カイメンは動物
最古の動物はカイメン? クシクラゲ??
現生カイメンの系統関係
〔COFFEE BREAK〕分類の混乱をどう収めるか?
スカスカと巨大化の深い関係
すりつぶしても死なない
体を支える骨格
カイメンのふえ方
海を漂う幼生
〔COFFEE BREAK〕1万年生きたカイメン
第3章 カイメン行動学ことはじめ
水路をキレイに保つ秘密
カイメンの「くしゃみ」
リモデリングで前に進め
かいめんころころ
〔COFFEE BREAK〕付着動物の移動方法
第4章 カイメンをとりまく生き物たち
カイメンを食べる生き物
付着する生き物との攻防
「生きているホテル」
女王エビが住まう迷宮
ポンプ代わりの貝
カイメンを背負って歩くカニ
カイメンをくわえたイルカたち
微生物でぎっしりか、もしくはスカスカか
骨片は「光ファイバー」
〔COFFEE BREAK〕昨日の敵は今日の友? フジツボとサンゴの持ちつ持たれつな関係
第5章 生態系のなかのカイメン
「謎の生態系」微生物ループの発見
ダーウィンも悩んだ謎、その黒幕の正体
何をどう出すか
生きた化石「カイメン礁」の発見
カイメン、石を穿つ
肉食のカイメン
〔COFFEE BREAK〕近くて遠いフロンティア、深海
おわりに
付録 カイメンを観察しよう
骨片の観察

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

116
脳も心臓も胃腸もないスカスカ スカスカ スッカスカーなのに生態系を牛耳っていた。・・・表紙より。カイメンは海岸にようく打ち上げられているのを見かける。海の荒れた日のあとは多い。そんなカイメン、英語でスポンジというらしい。スポンジというのは和製だと思っていた。カイメンは子供の頃、郵便局や事務机に必ずおいてあることに気づいた。切手を貼るときに水を含ませたカイメンで湿らせて貼る、ただうちで貼るときは舌で湿らせたが・・・カイメン、何もせずに海水から栄養を濾し取って生きるだけかと思っていたらそうではないらしい。2021/10/02

にしがき

23
👍👍👍👍 この岩波のシリーズはハズレ無し。ワクワクと驚きを提供してくれる。/カイメン素人の自分には、カイメンの英語名がスポンジであるのも驚き。カイメンの人との関わり、体の構造(スカスカ)、増え方、他の生物との関係、生態系での役割、等々…新しいことだらけで脳が喜ぶ。多種多様な骨片について、「骨片の形がもつ機能的な意味はわかっていない。そもそも、機能的な意味はない可能性もある」なんて素晴らしい。/随所に著者のカイメン愛が滲み出ているのも良い。世界一長生きの動物についてのエピソードが好き。2022/01/08

22
1万年生きた個体の骨片が深海からみつかったり、イルカは海底漁って餌をとるときに、やらかいカイメンくわえて口を保護したり(血縁関係にあるイルカだけによる特定の道具使用の例)、御幼少のオスメスのエビをとじこめて、大きくなったら出られなくなる棲み処と化す闇の腐女子の概念みたいなカイロウドウケツちゃんのヤンデレっぷりにいたるまで、そのすてきなスカスカっぷりと著者の愛を堪能。ごちそうさまでした。2021/11/28

翠埜もぐら

22
カイメンってスポンジとしてぐらいの認識しかなかったのですが、あれ生き物だったのか。黒くなったので漂白しようとしたら溶けてしまって、そうかタンパク質だから溶けちゃったんだ。すりつぶしても死なず千切れてもそのまま増殖したり、首までどっぷり文系人間はこれが生き物ですと言われても、神経もないのにどうやって反応するのかと納得できなーい。しかも食糧事情から肉食化したものまでいる。カイメンの体内にある微小なガラス質の骨片の話が面白かったです。石灰質ではなくガラス質であるからシアノバクテリアとうまく共生できるってすごい。2021/11/23

tom

20
カイメン=スポンジは植物(海藻)みたいなものと思っていたら、これは動物だった。海辺で見かける岩にへばりついた赤やら焦げ茶の汚らしいもの。あれがカイメンらしい。このカイメンの構造(内部にガラス質の棘がいっぱい)、食生活、他の生物とのかかわり(カイメンの中で暮らすエビー真社会性動物までいる)などなどを書いている。カイメンは生態系のなかの重要な役割を果たしている。人間が死滅しても、誰も困らないけれど、カイメンが死滅したら、他の生物は大困り。バイカル湖の世界一透明度はカイメンあってのことらしい。面白い本でした。2023/05/03

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