- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「どうりで捕まらないわけだ」(道尾秀介)
自転車全国一周に扮した富田林署逃走犯、尾道水道を泳いで渡った松山刑務所逃走犯、『ゴールデンカムイ』のモデルとなった昭和の脱獄王……彼らはなぜ逃げたのか。なぜ逃げられたのか。
異色のベストセラー『つけびの村』著者は、彼らの手記や現場取材をもとに、意外な事実に辿り着く。たとえば、松山刑務所からの逃走犯について、地域の人たちは今でもこう話すのだ。
〈不思議なことに、話を聞かせてもらった住民は皆、野宮信一(仮名)のことを「野宮くん」「信一くん」と呼び、親しみを隠さないのである。
「野宮くんのこと聞きに来たの? 野宮くん、って島の人は皆こう言うね。あの人は悪い人じゃないよ。元気にしとるんかしら」
「信一くん、そんなん隠れとってもしゃあないから、出てきたらご飯でも食べさせてあげるのに、って皆で話してました。もう実は誰か、おばあちゃんとかがご飯食べさせてるんじゃないん、って」〉(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
33
煽り気味なタイトルではあるが、内容は脱走犯へのインタビューと受刑者の処遇、保釈制度のあるべき姿を考えるといった、割と真面目な内容。2022/11/01
いちろく
26
紹介していただいた本。開放的処遇施設である愛媛の堀のない刑務所から脱走した逃亡犯が尾道市向島に潜伏したニュースはよく覚えている。事件のその後も描かれており驚いた。もちろん、著者のフィルターを通した内容だが、当事覚えた違和感の一端が溶けた気がした。そうなのだ、何故逃亡したのか? という根本的な内容には今まで報道のメスが入っておらず、返答をしない施設側に不信感が募る。(施設よりも)刑務所に戻りたい、というセリフが印象的。犯罪者の肩を持つわけではないが、刑期を終えたら是非ライターを通じて真相を告発してほしい。2024/01/28
金吾
26
脱走者の状況及び保釈時の逃走自体は罪にならない状況について書いています。理由はあるかもしれませんが、冤罪でない限り脱走は不安感があります。しかし脱走の話はワクワクしてしまう自分もいるなあと思いながら読みました。保釈はせめて性犯罪者はGPS監視をして欲しいと思います。2024/01/10
まゆみ
16
小説や映画やドラマのような物語と実態とのズレ。メディアは動機や物語を盛りがちなのは、この本を読むと納得。ミステリィ小説での犯人や警察は、スペックが高い人物が多いだけに巧妙で面白い。でも実際は職務質問までされたのにバレずに逮捕されないという間抜けな事実もあるという。保釈保証金の意味だとか保釈後の逃走(カルロスゴーン等)が罪に問われないとか謎。他国ではGPS監視や、保釈逃亡罪が定められているとのこと。日本の制度や法律がいまだ整っていないことにガッカリです。そりゃ確かに逃げるが勝ちと犯罪者は思いますよね。2022/10/22
hirocchi
15
リアルとリアリティは違う。マスコミ報道だけを鵜呑みにしてはいけないですね。2023/02/07