地獄への潜入 - 白人至上主義者たちのダーク・ウェブカルチャー

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地獄への潜入 - 白人至上主義者たちのダーク・ウェブカルチャー

  • 著者名:タリア・ラヴィン/道本美穂
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 柏書房(2022/06発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784760154449

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内容説明

ネット上の差別や駅前で散見されるヘイト街宣を、「たかが言葉」と放置すれば、いずれそれは必ず身体的な暴力へとつながる。「地獄の具現化」に歯止めをかけるための鋭い警告の書。――日本語版特別寄稿・安田菜津紀氏

■本書の内容
本書は、ユダヤ人の女性ライターが素性を偽り、オンライン上の過激派コミュニティに潜入した渾身のルポルタージュである。著者は、様々なルートから「白人至上主義」の内実を暴き出す。

〈テレグラム〉で90以上の極右グループを監視した際には、反ユダヤ主義的なミームや人種差別的な中傷、暴力的な文書や動画が日常的に交換される様を目の当たりにした。

白人至上主義の男女を結びつけるサイト〈ホワイトデート〉には、白人の子を産みたい金髪の女性狩猟家として登録し、民族浄化を願う気持ちとミソジニーに支えられた熱烈な「ラブレター」をいくつも受け取った。

孤独なインセルとして〈レディット〉の掲示板や〈ディスコ―ド〉の非公開型チャットに潜伏した際には、ミソジニーが白人至上主義思想へと発展していく様を確認した。

右派のユーチューバーが集う「マインズIRL」では、イベント会場のカジノから「追い出された」。100万人近い登録者をもつ過激なユーチューバー(14歳の少女!)と対峙した際には「純度の高い硫酸」のような言葉を投げつけられた。

ウクライナでテロリストの「マニフェスト」を広める役割を果たしていた男性とは、チャットで恋人関係を演じることで身元を特定し、国際調査集団「ベリングキャット」のメンバーに情報提供した。

このような「潜入」を通じて本書は、民主主義の「建前」が崩壊した現代アメリカにおいて、オンライン上で育まれた反ユダヤ主義、レイシズム、ミソジニーなどが、いかにメインストリームを侵食しつつあるかに警鐘を鳴らす。同時に、私たちがそれに反撃するための方法を伝える。

日本人にとっても、他人事ではない一冊。

■本国での反響
★『タイム』2020年の必読書100選
★『カーカス・レビュー』2020年ベスト・ノンフィクション
★『ニューヨーク・タイムズ』『フィナンシャル・タイムズ』などでも紹介

目次

はじめに
第1章 憎悪
第2章 ユダヤ人
第3章 過激主義運動「ブーガルー」の台頭
第4章 アシュリン作戦
第5章 インセルとの冒険
第6章 古き良き時代の宗教
第7章 カジノからの脱出、10代のレイシスト、テック企業の責任
第8章 高まる動き――加速主義と暴力
第9章 アンティファが内戦を起こすというデマ
第10章 私たちの安全を守るのは私たちだ
おわりに
謝辞
寄稿(安田菜津紀)
原注
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

119
無力と貧しさに打ちひしがれている人は、あまりに惨めな現実を直視できない。自分こそ富と地位と権力を握り、他者の上に立つべきだとの夢に溺れねば生きられないのだ。特に世界一の大国を自負するアメリカ白人貧困層の男たちは、先祖が有色人種と女を支配してきた時代を知るだけに、現実こそ誤りで自らが得るべき利益が他人に盗まれたと思い込む。そんな社会への憎悪はこれまで孤立していたが、SNSの発達で世界に同志を見い出した。狭い仲間内では強硬な言説ほど賛同を集め、戦争を望むほど過激化していく。人の心の地獄の深い淵を覗いた気分だ。2022/07/26

TATA

36
うーん、読んでて気分が悪くなった。ユダヤ人の筆者、自らの素性を偽り白人至上主義のコミュニティに潜入し時に相手の個人情報を晒す。ただ、白人至上主義だけじゃなくて、ミソジニーや性的少数者へも憎悪の念を露わにする人々の言動を見ていると相当に滅入る。ユダヤ人を巡る歴史なんかは日本人の自分には理解できていないところもあり勉強になったが、それ以外のところはひたすら憎悪の交錯。昔からこういった意識はあったのだろうが、ネットでそれが世界的に繋がり悪意に同調することが容易になったということか。次は明るい本読みたい。2023/04/30

星落秋風五丈原

25
正体を隠すと出てくる出てくる恐ろしい思想の持主。今話題のウクライナに本当にネオナチがいた。でも全国民がというわけではないよ。2022/07/05

buuupuuu

19
ニュージーランドでモスクを襲撃したブレントン・タラントの事件は、その衝撃的な映像が強く印象に残っている。銃規制が緩い国ではこうした事件の脅威が日本よりも強いように思う。しかしなぜそのような行為に走ってしまうのか。本書では、白人を絶滅させようとする勢力との人種戦争という白人至上主義の世界観や、インセルの被害者意識、SNSによる増幅効果などが描かれているが、なかなか納得はできない。オウムによる事件が腑に落ちないのと似たような感じがある。ロシアによるウクライナ侵攻で話題になったアゾフ連隊についての記述もある。2022/07/08

紅咲文庫

13
アメリカのユダヤ人である著者が、人種差別者達の集団へ潜入(主にインターネット上で)し情報を集める。集めた情報を公開し集団の活動を阻止しようとする目的。白人至上主義者によるユダヤ人差別、女性蔑視、反キリスト教。差別を行う口実のルーツや、様々なレイシスト集団の共通項として使われるユダヤ人差別についての考察。差別主義者の動画配信が過激化する過程、削除可能な手段を持ちながら実行しないGoogle、Youtubeのような企業。相手にしないという立場で過激な言論を無視する行為がどのように危険か。多くの提言がみっしり。2022/07/31

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