内容説明
スコットランド・ヤードの女性刑事ケイト・リンヴィルが休暇を取り、生家のあるヨークシャーに戻ってきたのは、父親でヨークシャー警察元警部・リチャードが何者かに自宅で惨殺されたためだった。伝説的な名警部だった彼は、刑務所送りにした人間も数知れず、彼らの復讐の手にかかったのだろうというのが地元警察の読みだった。すさまじい暴行を受け、殺されていた父。ケイトが愛し尊敬してやまなかった父は、なぜ殺されなければならなかったのか? ケイトにかかってきた父について話があるという謎の女性の電話……。ドイツ本国で160万部超の大ベストセラーとなった傑作ミステリ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoru
78
多くの尊敬を集める元警部の父が無残に殺された。彼を唯一の拠り所とするスコットランド・ヤード勤務のケイトは犯人を突き止めるべく捜査を開始し、やがて思いも寄らなかった父の実像を知る。いっぽう脚本家のジョナス一家は安らぎを求めて人里離れたムーアの別荘での休暇に赴くが、恐るべき事態が待っていた。第二の殺人が起き、ケイトと地元警察の刑事ケイレブはしのぎを削りながら犯人逮捕を目指す。フセインの犠牲者、養子縁組、社会福祉の限界など現代イギリスの諸相を盛り込みつつ展開するスリリングな物語。ドイツでベストセラーとなった→2022/11/12
ナミのママ
69
ヨークシャーで伝説的な名警部だった父が惨殺された。自身も刑事のケイトは休暇をとり実家に戻るが捜査権はない。犯人は過去の犯罪者?この事件と並行して脚本家一家の話が進行する。電波の届かない農場で休暇を計画した一家にも不穏な気配。上巻ではどちらも少しずつ書かれ繋がるようで繋がらない。本作には予感や兆候がよく出てくる。科学的根拠や計画性、分析が主流となる時代だがなかなか鋭くて頷いてしまった。人づきあいが苦手で孤独なケイトと地元警察とのかかわりも作品に深みを感じさせている。2022/07/07
はれひめ
46
怖い怖い、助けて〜!スリル満点。イギリスの気候が陰鬱に拍車をかける。「リヴィング」表記が出てくる度に翻訳を読んでる感増し増し。下巻で早く決着をつけたい!2023/01/18
鴨ミール
44
主体となる話と、全く別の話が代わる代わる出てくるので、はじめは混乱した。しかし、一人の男がどちらの話にも出てくるとわかり、そこから面白くなってきた。主人公の女性が魅力的に書かれていないのは、意図してなんだろうか?下巻へ。2023/03/16
路地
42
はっきりとは描かれないが子供の悲劇を予想される場面と、それとは対照的に読み進めるのが辛くなるほどに詳細に書き込まれた初老の元刑事の凄惨な殺人場面から始まる。父親の悲劇に打ちのめされつつも業務外の捜査を進める主人公だが、魅力に乏しい冴えない女性という設定に意表を突かれる。連続殺人事件とはなんの関係もなさそうに思える養子縁組をした夫婦が巻き込まる事件が本筋に近づいていくところが面白い。2024/08/24