内容説明
複雑性PTSD(C-PTSD)は、小児期に親や養育者などからの虐待やネグレクト、DVなどのトラウマティックなできごとに繰り返し長期にわたってさらされることによって起こる。子ども時代に身体と心に深刻な影響を受けるとおとなになっても他者への不信感や不安定な体調や情緒に苛まれ、自分自身を責めたり傷つけたりすることがある。
本書では、ソマティック・アプローチとマインドフルネスを基盤としたトラウマ臨床で成果を上げている著者が、複雑性PTSDの症状やメカニズムをわかりやすく説明したうえで、自分にコンパッション(思いやり)を向けることに焦点をあてて、身体と心を癒していくセルフケアのスキルを紹介している。
よくみられる症状や感情調整、対人関係の問題などへの対処法、また、複雑性PTSDをかかえる人の体験談を自分のペースで読み進め実践していくことで、子ども時代のトラウマから自分の人生を取り戻すための道を歩むことができるだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろか
11
この手の本、日本だとあまりないですが、翻訳ものだとよく見かけます。専門書というよりは、セルフヘルプ本で、何人かと登場人物の体験と共に、内容が進んでいく。 「選択権を取り戻す」ことが底辺に広がるテーマ。 だと考えると、このようなセルフヘルプ本は、回復を願う大人当事者向けであるが、子ども支援についても必要なことが何かわかる。2022/04/09
dareka
4
いい本だった。事例と解説とセルフケアのセットで各項目まとめられていて、読み応えがあった。 淡々と書いているのに、薄っぺらい言葉にならず、厚みのある印象の言葉だった。なんだかさっぱりするような優しい気持ちになる不思議な感じだった。セラピーってこんな感じなのかな。 セルフケアの本って探せばこんなにいい本もあるんだな。2023/02/03
あみちゃんこ♀
3
すごく良書だった。やっぱり精神医学はアメリカが進んでる。「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害: C-PTSD)C-PTSDのComplex(複雑性)というのは、幼い時期にトラウマが起きたり、情緒の発達に影響を与えるくらい頻繁にトラウマが繰り返されたりしたことを意味します」(本書より) 例に出てきた人たちほど酷くはないにしても、私も思い当たる節はいくつかあった。「今は安全だと認識すること、自分は力を持っていることを認識すること」心に留めたい。→
okaching
2
読みやすく温かい本だった。瞑想等あるがままに自身をつかめたら大きな一歩なんだな。自身が生きづらさを抱えてることにも気付けずに治療にすら進めない人が沢山いそう。2025/05/18
hnk
2
非常に平易な言葉で読みやすかった。特に当事者のことばには生きた実感があり、自分の経験が言語化できない人への助けになると思う。2022/06/19