内容説明
「地獄寺」と呼ばれるタイの寺院には、カラフルでキッチュなコンクリート像がこれでもかというほど立ち並んでいる。日本では「珍スポット」「B級スポット」などとして知られ、一部のマニアには注目されてきた。
獄卒、罪人、餓鬼、骸骨、オバケなどが立体像で勢ぞろいする地獄寺は、グロテスクでもあり、ときに笑いも誘う奇妙な風景をつくりだしている。
なぜ、タイの人々は日常生活のなかで地獄を表現しているのか? 地獄寺に魅せられ、タイ全土の83にも及ぶ寺院を実際に訪ねた著者が、タイの地獄思想、地獄寺が生まれた背景、さらに表現されている地獄の数々まで、地獄寺を体系的にまとめた世界初の地獄寺論考。
目次
まえがき
はじめに――研究対象としての「地獄寺」
第1章 タイの地獄思想とその表現
1 タイの仏教思想――出家仏教と在家仏教
2 タイの地獄思想――『三界経』と『プラ・マーライ』
3 描かれた地獄――寺院壁画と写本
コラム(1) 現代の地獄絵
第2章 新しい地獄表現「地獄寺」
1 地獄寺とは何か――調査からみえてきたもの
2 地獄寺が生まれた背景――一九七〇年代という時代
3 地獄寺における空間構成――リアリティーの追求
コラム(2) 苦あり楽あり地獄めぐり
第3章 個性豊かな地獄の住人たち
1 地獄の亡者――責め苦を与える者/与えられる者
2 混在する餓鬼――自身の姿が変容する者
3 異形イメージの源泉――精霊信仰との図像的習合
コラム(3) 愛すべきタイのピーたち
コラム(4) 地獄めぐりのススメ
むすびにかえて――生きている地獄表現
調査資料
参考文献
あとがき
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きいち
cape
ちはや
咲
Tomonori Yonezawa