内容説明
信用金庫の支店長をつとめる花井は、浮気をネタに高額な金を強請られていた。会社の実力者の入り婿となり、将来を約束されていた彼にとって、妻の不興を買うのは避けなければならず、恐喝者を抹殺する以外に道はなかった。綿密な計画のもとに殺人を実行した花井だったが……(「暗い穽」)。人気テレビドラマの原案となった巨匠の倒叙推理アンソロジー第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
したっぱ店員
37
癖になってついこちらも購入。前作と同じく突っ込みながら肩の力を抜いて読める。綿密(?)な計画が壊れる理由に停電が多いのがまさに昭和!今これ書いたら通らないよなー。2021/11/21
みなみ
29
倒叙ミステリーばかりを集めた短編集。昭和という時代を感じさせられる動機や手口も多いけれど、安定感があって楽しめた。犯人が足元を掬われることになる原因は、停電等の偶然やうっかりもあるけれど、どちらにしても悪いことをしたらきちんと明らかになるところが強調されているのは良かったなぁ。ただ、犯人の側にも同情できるような事情がある場合も一部あって、少し気の毒になるものもあった。2023/05/10
水生クレイモア
14
鮎川哲也のノンシリーズ倒叙短編集。どの部分から犯行の綻びが顕れるのかを考えながら読むと面白い。「白い盲点」・「鴉」・「透明な同伴者」が私的ベストです。2023/01/25
コチ吉
9
「黒い蹉跌」に続く倒叙短編集。犯人の工作が単純なのと、あまりバラエティ感がなく、やや食傷気味に読み終えた。一作目の方が良かった印象。2021/11/21
しゅー
6
★★イヴになに読んでるんだ私は。それはともかく、大御所らしく手堅い面白さだった。倒叙形式ばかりでも、読者に結末まで楽しませるのはさすがだ。動機とか登場人物の言動は昭和感丸出しだけど、短編なのでそこまで違和感は感じなかった。少し残念だったのは、趣向がかぶる作品が多いこと。短編集を編むにあたって工夫できなかったのかしらん。連続して同じネタだった時はがっかりしてしまう。2021/12/24