内容説明
奈良時代、天皇のそばに仕え、臣下ながら政治の実権を持った藤原仲麻呂と道鏡。太政大臣という官僚機構の最高位の地位に登りつめた彼らはいかなる基盤を持ち、絶大な権力を握ったのか。乱を起こし一族滅亡した仲麻呂、皇位に手が届いたかにみえたが失脚し追放された道鏡。二人の人物像と政治背景を軸に、奈良時代の政変と天皇家の実像を描き出す。
目次
天皇と貴族―プロローグ/藤原仲麻呂の台頭(藤原仲麻呂の登場/安積親王とその周辺/孝謙天皇の即位/孝謙天皇の皇太子/橘奈良麻呂の変)/藤原恵美押勝の時代(淳仁天皇の即位/藤原恵美押勝の権力/光明大皇太后の死/藤原恵美押勝の乱)/道鏡と政治世界(道鏡の前半生/正倉院文書のなかの道鏡/道鏡の仏教/大臣、そして法王へ/称徳天皇即位後の政変)/道鏡事件(『続日本紀』『日本後紀』の認識/研究史の概観/事件の真相は)/仲麻呂・道鏡とは―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫草
11
道鏡はとても優秀な僧だったそうですね。孝謙(称徳)天皇は聖武と光明子の子なのできっと仏教信仰に篤かっただろうし、有名な「俗説」は、ジェンダー的なバイアスとか皇国史観みたいなものが入っちゃってるのでは?と思い、少し勉強してみたくなりました。「道鏡事件」については研究史もあって、誰がどんな説を唱えているのかが整理されており、これから何を読んでいけばいいかもわかります。(でも難しくて、とてもそれを片っ端から読んでいくというわけにはいかないです)2023/01/04
星乃
3
仲麻呂と道鏡が皇帝or天皇の地位を狙っていたのかどうか、その胸の内は不明だが、これを読んで一つ言えることは天皇の後継者が天皇家の血筋の者でありさえすれば臣下(国民)はある程度寛容だが、血筋以外の者が天皇になろとうした際の拒絶反応たるや凄まじいものがある。宇佐八幡神の和気清麻呂の一件は「どうしても、それだけは絶対に許せない」と言うギリギリの正義感だったのではないかと思うが、どうだろう。2023/06/12
瑞江 蕾羅
2
古代史の課題で軽く読んだ 2021/07/24
白山手賀
1
権力闘争が起きているのは分かるが、何が強弱の、勝ち負けのポイントになっているのかが、貴族のそれはよく分からない。最後の武力のところだけなのかな?2023/12/30
源義
1
「歴史学とはやはり、過去の姿を、わかりやすくなくとも、豊かに描くものだと考える。シンプルな図式より、ふくらみのある歴史像を作り上げたいと思う。」との筆者の言葉に常にシンプルな図式を求めてしまう自分自身を反省。ただそれにしても「ふくらみ」がありすぎるように思う。そこに真実はあるかもしれないが論理がない。自分には難しく感じた。2023/04/19