内容説明
『イノセント・デイズ』を今一度書く。そして「超える」がテーマでした。僕自身はその確信を得ています――早見和真
彼女たちは、蟻地獄の中で、必死にもがいていた。
愛媛県伊予市。越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。
うだるような暑さだった八月。あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か──。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
606
少女の願いはただひとつ、母を断ち切り、生まれ育った瀬戸内の小さな街を捨てて出ていく…それだけだった。三代にわたる母と娘の依存と確執、負の連鎖、地方の閉塞感、男に支配される社会。母性とは。今日もまた日本のどこかに存在するような問題のコアを、男性である作者が書き上げたことに賛辞を送りたい。散りばめられたミステリの種と、落としどころが気になってグイグイ読まされる。そして迎えた衝撃のラスト。うまく受け止められず、途方に暮れている。2022/03/03
starbro
413
早見 和真は、新作中心に読んでいる作家です。著者は、変幻自在、今回は角田光代が書きそうな祖母母娘三世代濃密な凄まじい葛藤の物語でした。 https://kadobun.jp/special/hayami-kazumasa/hachigatsu/ https://www.youtube.com/watch?v=gv_VMK_-rDY2022/04/14
fwhd8325
266
とても辛い読書でした。身体が震えていました。怒りではなく、恐怖です。確かにこの題材となった事件は記憶があります。それがかえって、私の恐怖を増幅させます。途中で読むのを止めようとも思いました。でも、このまま物語は終わるはずがないと信じました。信じた甲斐があったかと言うと、それは複雑です。でもラストにより負の連鎖が断ち切れたと思いたい。2022/08/24
tetsubun1000mg
264
筆者の前作「店長がバカすぎて」との違いに大変驚きました。 もともとこんな作風だったのかな? 四国の海沿いの地方都市の設定だが、女子中高生の物語が絶望的で読み終えった後に思考停止のような状態になった。 本の雑誌8月号「上半期ベストテン」で第10位ながら、北上次郎氏の「今回の直木賞候補間違いなし」との高い評価だったので選ぶが大変ビターなテイストだった。 筆者は自分の人生は自分で選ぶ大切さを伝えたかったのだろうか? 前半は割と軽いタッチだったが終盤からはまさにハード&バイオレンス。こんな読書は久しぶりの経験。2022/07/21
kotetsupatapata
235
星★★☆☆☆ 冒頭で「イノセントデイズ」を連想させる描写があったりと期待して読んだのですが、400頁を超える作品なのに、至って凡庸な内容で最後まで物語に入り込めませんでした。 主人公もエリカなのか紘子なのか、それとも陽向なのかどっちつかず。 しかも揃いも揃ってポンコツぶり。 紘子も自分で“この蟻地獄から抜け出すには、勉強してこの場所に寄り付かないこと”と言っていながら、結局クズ同士の傷の舐め合いに甘えて、さらに深みに嵌まる。 エピローグで陽向が自ら負の連鎖を絶ちきった点だけは救いようがありました。2022/05/22
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