憑依と抵抗

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憑依と抵抗

  • 著者名:島村一平【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 晶文社(2022/03発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 660pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794973030

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内容説明

憤激の呪言(ライム)響く国。格差と抑圧に差し込む一筋の光とは。
高級・高層ビルが乱立し、加速度的に情報化する都市を
「感染するシャーマン現象」が侵食しているのはなぜか。

人々の熱い息吹を伝える、現代モンゴルの素描たち。

「排除/憑依/反抗」をキーワードに、
いまだ知られざる現代モンゴルの深層を明らかにする。

シャーマニズム、ヒップホップ、化身ラマ、民族衣装、
そしてチンギス・ハーン。現代モンゴルを理解する上で
欠かせない「貫く論理」をそれぞれの断片に見出す。

グローバル化と呪術化の間で揺れ動くその姿とは。

【目次】
第1部 グローバル世界を呻吟する
1:シャーマニズムという名の感染症
2:地下資源に群がる精霊たち
3:憤激のライム
コラム あるマンホール・チルドレンとの出逢い
第2部 社会主義のパラドクス
4:秘教化したナショナリズム
5:社会主義が/で創造した「民族の英雄」チンギス・ハーン
6:呪術化する社会主義
コラム:深夜の都市でボコられる
第3部 連環する生と死
7:シャーマニズム、ヒップホップ、口承文芸
8:生まれ変わりの人類学
コラム 古本屋のB兄
第4部 民族文化のゆくえ
9:コスプレ化する民族衣装
10:“モンゴル化する洋装と匈奴服の誕生

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

138
社会主義崩壊してからモンゴルではシャーマンが流行ってウランバートル人口の1割がシャーマンだったそうで。 今はラマ教に流行りが移って、ラマ教の坊さんが幸せになる壺を売ったりしてる、と、ちょっと残念な感じ。 草原のロマンはいずこに2024/11/13

BLACK無糖好き

22
現代のモンゴル社会における宗教や文化の一端を照射。現代のモンゴルは都市住民が増え遊牧民は人口の9%、従来の大草原と素朴な遊牧民という長年日本人が引きずってきたイメージをひっくり返している。注目したのは以下二点。一つ目はシャーマンが精霊を呼ぶ際の召喚歌で頭韻を踏む韻の憑依性を、口承文芸の領域と更にヒップホップとの関連で考察する非常にユニークな視点。二つ目は社会主義時代の宗教抑圧下における呪術的な仏教実践を、ポスト社会主義との連続性で捉え、社会主義近代化と呪術強化の関連という斬新な提示。2023/01/30

kuukazoo

18
2000年前後~2010年半ば頃までモンゴルではシャーマンになる人が爆発的に増加したって何?と思って読んでみた。社会主義体制崩壊後、地下資源開発が本格化し経済が急成長した裏で格差拡大、環境汚染などが深刻化し、それに起因する様々な不安や不満の出口がシャーマニズムだったのか。口承文芸がメインのモンゴル人にとって声と体とリズムの技法を使うシャーマニズムとヒップホップ(知らなかったがモンゴルで盛んらしい)は意外に近いらしく面白い。どちらも韻を踏むことで身体や意識を変容させ未知の言葉を生み出し、それを聞く人がいる。2022/08/13

佐倉

17
資本化と産業化が急速に進んだ2010年代のモンゴルでは、比例するようにシャーマンが増えていた。資源の開発による貧富の差の拡大、遊牧民への圧迫と搾取、環境破壊といった問題を不可逆な変化としてある面で受け入れつつ、ある面では憑依や呪術といった技術を用いて異議申し立てを行い立場を読み替えたり逆転させていった。この”抵抗“はシャーマンに留まらずラッパー文化、社会主義時代のチンギスや仏教に纏わる言説、服飾文化にも見出せるという。モンゴルの社会の中で論理として息付く抵抗の技術=呪術たちの姿はとても興味深かった。2024/12/22

臓物ちゃん

14
君もシャーマンになって親ガチャを確変だ!シャーマニズムにヒップホップに地下資源、そんな日本の素朴な遊牧民族崇拝によって隠されていた現代モンゴルのリアルを暴いた圧巻の一冊。首都ウランバートルのスラムの写真があるんだけど、例のあのモンゴルテントが工場地帯の隙間の空気が悪そうな場所にズラーッと並んでて仰天!確かにモンゴルでスラムならそうなるんだろうけど自分の世界認識がガクガク揺さぶられっぱなしのノンフィクションだった。コスプレみたいに魔改造されまくる民族衣装も文化の深さを感じられて楽しいぜ。オススメ。2022/06/14

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