アルツ村

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アルツ村

  • 著者名:南杏子【著】
  • 価格 ¥1,771(本体¥1,610)
  • 講談社(2022/03発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065266588

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内容説明

『恍惚の人』から半世紀。現役医師作家による衝撃のメディカル・サスペンス!

高齢者だけが身を寄せ合って暮らす山間の村。そこは楽園か、遺棄の地か。

夫の暴力から逃れ、幼い娘を連れて家を出た主婦・明日香。
迷い込んだ山奥の村で暮らし始めた明日香は、一見平和な村に隠された大きな秘密に気付き始める。
住民はどこから? 村の目的は?

老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……世界一の認知症大国、日本。
人生を否定される患者。生活を破壊される家族。
認知症の「いま」に斬り込む衝撃作!

目次

第一章 北へ向かった夜
第二章 初めての村
第三章 村の医師
第四章 村の人々
第五章 村の宴
第六章 村の記録
第七章 村の名前
第八章 村の運営
第九章 介護日誌
第十章 村の守り
第十一章 村の電波
第十二章 村の外から
第十三章 村の奥
第十四章 村の大義
第十五章 村からの帰還

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

250
タイトルからはなんとなく穏やかなイメージ。帯からは認知症を題材にしてるのね…と、そんな読む前の私に「甘いわ!」と喝を入れたい。とんでもないモノを読まされた感じだった。くぅ…共生・自立・自由と尊厳、耳に優しい色んな建前の言葉が私の目の前を浮かんでは消えてゆく。介護される方とする方の家族の実情があった。苦しい。で、それだけではないこの村の真実がおぞましいのだ。アルツ村…ここには今この国が抱えている待ったなしの問題が幾つも提起されているのに、誰も真っ向から解決策を持たないように思えるこの国に背筋が凍る感じ。 2022/07/29

青乃108号

236
冒頭、夫の暴力に耐えかねて逃げ出す母と娘。わずか4ページ程で、やけにあっさり語られるが、そこはもっと詳しくページを割いて描かれないと偶然2人が辿り着いた【アルツ村】での安息が実感出来ないから、これは駄目なんじゃないかとずっと不審に思いながら読んでいたら。なるほどそういうわけだったのかと納得。予備知識なしで読んだので物語の展開が意外であり、【アルツ村】の正体に驚きながらその存在理由については非、とばかりは言っていられない程の現在の認知症問題は大変な事であり誰もが他人事だよとのほほんと過ごしている場合ではない2022/10/14

モルク

167
夫の暴力から逃れ明日香が娘と行き着いた先は地図にも載ってない携帯も繋がらない所だった。認知症患者だけを集めて暮らす村、そこはユートピアなのか。明日香も立ち寄り先の家の孫と誤解されそれを否定せず住むようになった。それにしてもなんだろう、この違和感。そうか、最後に来てわかる、なぜ明日香が強引にでも拒絶されなかった訳が。自分が認知症になったら、訳がわからなくなる前に、まわりに迷惑をかける前に、たとえ問題はあるにせよ、この村で自立して暮らしてもいいかなと思ってしまった。2022/05/28

ウッディ

160
DV夫から娘を連れて逃げついた所は認知症患者たちが暮らすアルツ村だった。厳重な管理の元に隔離されたその場所は、現代の姥捨て山なのか、患者と介護家族を救うユートピアなのか?認知症介護の苦しみ、ヤングケアラーの悲惨な実態そしてアルツハイマー病の解明と治療方法の開発など、現代の社会の問題点に切り込みながらも、冒頭のカーチェイスや脱出劇、マッドサイエンティストの存在など、南さんらしくない、現実離れした舞台設定に違和感が残り、この世界に入り込めなかった。娘・リサの存在への違和感の種明かしも、驚きはなかったのが残念。2022/08/15

ちょろこ

155
突いてくる一冊。認知症がもたらす家族崩壊に手を差し伸べる救いの村を描いた物語は現実と叫びに心を突かれた。支援があり、ある意味自由に生きられる村は極限に立たされた側には神の救い。でもそうは問屋が卸さない。嫌な予感と共に徐々に姿を現す村のからくりと恐怖。からくりへの言い分は心を揺さぶってくる。もっともな部分、救いの部分を突いてくる。そんな間に待ち受けていたのは更なる驚愕。と同時に丸ごと覆いかぶさるのは、せつなさ。そのせつなさがまた心を突いて来た。全てが夢であったら…そう思うしかない日々、それがこの病の現状。2022/05/09

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