内容説明
台本ありきの首相会見の内幕、合同取材でつかんだ辺野古新基地“自衛隊常駐”計画、「復興五輪」の名の下で行われた聖火リレーの異変など、原発と基地を押しつけられる「苦渋の地」を持ち場とする二人の記者が、取材現場の裏側をつづる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
16
朝日新聞記者・ルポライターの三浦英之と、沖縄タイムス記者の阿部岳による、主として福島と沖縄を取材したリレーエッセイ。権力は、少し気を緩めると歴史改ざんや不都合な事実の隠蔽に走る。権力者の監視役としての闘うジャーナリズムの体現者である東京新聞の望月衣塑子記者、朝日新聞の南彰記者、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏なども登場し、気骨のある記者たちが繋がり共闘する姿が頼もしい。彼らが業界では「異端」とされることは問題だが、ジャーナリズムの使命に忠実であろうとする彼らを我々有権者が支持していかねばならないと思う。2022/04/01
りんりん
6
沖縄と福島は似ている。戦争で亡くなった人たちの骨がまだ残っている、その土が基地の埋め立てに使われようとしている沖縄。まだ見つかっていない津波で亡くなった人たち。その上に汚染物質の保管庫を作られようとしている福島。どれだけ踏みつけにすれば気が済むんじゃ。「アンダーコントロール」って何だよ。コロナ以降まったく口にされなくなったけれど「復興五輪」って何だよ。電車が通ったから復興したわけじゃないだろ。どんどんダメになっていくマスコミのなかで数少ないがんばっているジャーナリストが誰かわかる本でもある。2022/09/05
チェアー
6
ジャーナリズムは「市民に寄り添う」を掲げてきた。 しかし本当の姿は「市民を盾にして、その後ろに隠れる」ということだった。 言いたいことがあっても自分では言わず、取材者が選んだ「市民」に「リアルな声」として語らせる。 その方法は、取材者が都合のいい立場にいつでも移動できる。 そのからくりはもう見破られている。 これからは、「市民として生き、発言する」ことだ。 いろんな「私」を社会に投げ込んでいくだ。 2022/05/24
しおうり
1
嘘か誠か分からない様々な情報が簡単に手に入るこのご時世だからこそ、筆者達のようなジャーナリストは必要だし、期待もしたい。2023/02/13
yurari
1
一つのテーマをとことん掘り下げる、というより、福島と沖縄に関する複数のトピックをまとめた内容。期待したほどの深さはなかった。2022/08/01