筑摩選書<br> 教養としての写真全史

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筑摩選書
教養としての写真全史

  • 著者名:鳥原学【著者】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 筑摩書房(2022/03発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480017246

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内容説明

21世紀に入って、写真のもつ意味と役割は劇的に変わった。スマートフォンが普及し、誰もが気軽に写真を撮ってSNSにUPするようになったからだ。だがこれまでも、機材やメディアの変化とともに写真の役割は常に変化してきた。単なる記録の手段として始まった写真が、次第に報道・広告・表現などへとその役割を広げていき、やがて芸術の一ジャンルとして確固たる地位を築くまでの道筋をたどる。歴史を知り、写真を読み解くリテラシーを身につけるための一冊。

目次

はじめに
第一部 写真文化の基盤
イントロダクション 写真の起源
第一章 カメラと写真の歩み 描写の進化がもたらしたもの
世界を観察するために
写真の発明
複製という性質
フィルムカメラの登場 コダックとライカ
デジタルカメラの時代 一九九〇年代後半~現在
第二章 一九九〇年代以降の写真と社会
デジタルがもたらしたもの
世界の「フラット化」
コミュニケーションとリテラシー
資料年表 現代の写真技術と世相
一九九〇年代以降の写真文化の変化
第三章 ポートレイト 実態とイメージ
肖像写真
実物とイメージ
社会的な活用
肖像写真はメッセージである
写真と死
ひとり歩きする肖像写真
肖像の技法について
光の効果
類型と個性
家族の肖像
シンプルさの追求
実像と虚像
第四章 スナップショット 日常から見出されたもの
身近な写真としてのスナップショットの楽しみ
甦る写真
一九五〇年代 「瞬間の美学」と「ヒューマニズム」の結合
日本におけるスナップショットの展開
主観的表現として
一九七〇~八〇年代 消費社会の表層
コンポラ写真 日本におけるスナップショットの転換
「私写真」という起点
没場所性から生まれた表現
第二部 ヴィジュアル・コミュニケーションとしての発達
第五章 ヴィジュアル・コミュニケーションの誕生 一九二〇~三〇年代の映像実験
モダン・デザインと写真
第一次世界大戦後の世界
バウハウス 一九一九~三三年
ロシア構成主義
モダン・フォトグラフィの実用化 モンタージュからルポルタージュへ
第六章 フォト・ジャーナリズムの展開 記録と宣伝
フォト・ジャーナリズムの誕生
アメリカにおけるフォト・ジャーナリストの始動
『ライフ』創刊
日本における報道写真時代の始まり
第二次大戦後の変化
日本を写した外国人写真家
日本人写真家の主体性とは
「主観」時代の変化
ベトナム戦争の写真家たち
フォト・ジャーナリストの変容
報道の管理 一九九〇年代以降の戦争と報道
フォト・ジャーナリスト不要論
アートとの境界の消滅
第七章 広告写真 情報社会の視覚デザイン
広告産業の理論
広告写真の誕生と展開
日本における広告写真の始動
ゴールデン・エイジのアメリカで
一九六〇年代は若者文化とともに
日本の広告写真 第二次世界大戦後の展開
広告写真の国際化 オリンピックと資生堂
フィーリングを売る時代
拡散する広告表現
ロックミュージックとヴィジュアル・イメージ
第三部 写真表現の展開
第八章 芸術と写真① 芸術家の写真、写真家の芸術
芸術とはなにか
写真における芸術 一八七〇~一九一〇年代:ピクトリアリズム
あらゆる手法で
自然主義写真 過渡期のピクトリアリストたち
アメリカにおける展開 スティーグリッツを中心に
ストレート・フォトグラフィの発見
西海岸の写真家たち ストレート・フォトグラフィとアメリカ的価値観の融合
日本の芸術写真
第九章 芸術と写真② 前衛芸術としての写真
ダダイズム 拒絶の精神
ダダイズムからシュルレアリスムへ
マン・レイとアジェ
写真と芸術の関係
日本における新興写真と前衛写真
前衛写真の終焉
第十章 芸術と写真③ 美術館の時代と再帰的な表現
一九六〇~七〇年代のコンセプチュアリズム
写真と美術館
ポップ・アートの写真 消費社会における美術
写真にとってのコンセプト
サイト・スペシフィックと開かれた美術館
ポスト・モダニズムの写真
イメージと写真の物質性
第十一章 ファッションと写真 文化と産業の境界
産業化とともに
ファッション写真の近代化
第二次大戦後のファッションと写真の流れ
ポストモダンとセックス革命
ストリート・カルチャーと写真の関係
ファッション写真をめぐる諸問題
第十二章 身体と性のイメージ① 裸体の系譜
身体のイメージ
ヌード写真の近代
ヌードの大衆化
アメリカの「性革命」の影響
第十三章 身体と性のイメージ② 多様化する性をめぐって
写真と「文化戦争」
ヌードというフロンティア
一九九〇年代の多様化と議論
フェミニズム表現をめぐる日本の状況
多様化し始めた性をめぐる表現
第十四章 ネイチャー・フォト 写真史のもうひとつの起源
新しい認識と表現を開く
自然を写し取る
アメリカの自然保護と写真
日本における自然の描写
自然美とナショナリズム
科学写真の発展
視覚化された「宇宙船地球号」
日本人による自然表現の変遷
ネイチャー・フォトの多様化
文化人類学的視点から
写真と動画の融合時代
第十五章 建築写真と都市化の景観
建築にとって写真とは
近代的都市の刺激
史料としての建築写真
視角と建築の近代的展開
建築写真の自立
人の手が加えられた景観
未来は廃墟を内包する
都市と自然の再考
第十六章 東アジア それぞれの写真史① 近代の葛藤とともに
一九八〇年代以降の発展
台湾 日治期のモダニズム写真
中国的なる写真芸術
写真と政治的葛藤
第十七章 東アジア それぞれの写真史② 第二次世界大戦後の展開
アイデンティティの再構築を求めた台湾
体制に翻弄された中国の写真表現
国際化を求めた韓国の写真シーン
おわりに 文化的資源としての写真史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

66
1850年~2000年代の世界と日本の写真についてのあれこれが多くの写真とともにコンパクトにまとまっている。①写真文化の基盤、②ヴィジュアル・コミュニケーションとしての発達、③写真表現の展開、の3部構成で③には:芸術やファッション、身体、ネイチャーフォト、建築写真などがあり、建築写真の話の始まりが遠近法でルネサンスのブルネレスキが紹介されているのが面白い。2021/12/10

kenitirokikuti

8
第十一章 ファッションと写真 文化と産業の境界/モードの帝王ポール・ポワレ、コルセットからの解放。コルセットの廃止はブラジャーの登場を促し、スカート丈の短縮はパンティストッキングとハイヒールを普及させた▲第十二章 身体と性のイメージ① 裸体の系譜/創刊号モンローのヌードが有名な米プレイボーイ誌、むしろ素人モデルの採用が大きい▲第十三章 身体と性のイメージ② 多様化する性をめぐって/日本人ヌードルが増えたのはロマンポルノ女優由来。平成は篠山紀信から始まり、metooに至る。2021/12/10

Yoshi

1
写真が何をしてきたか、をずらっと図版付きで並べていてわかりやすく、変化やなにが流行ったか等興味深く読めた。 ポートレイト、広告や報道、建築、芸術やファッション、コミュニケーション、自然など広範囲の物を素材?にする写真の技術や顛末が書かれており、最近あるような現代アートやハラスメント問題なども扱っていてわかりやすかった。2023/04/18

ぷほは

1
ほとんどのページに図版があり、様々な写真作品を楽しめた。写真はテクノロジーとしても芸術表現としても縁遠く、何かサブカルに凝った人のためのものでありオタクカルチャーと相性が悪いと思っていたが、廃虚写真やコスプレ写真、着エロアイドルみたいな流れを踏まえると、自分が想定していたほどには境界線がしっかり引かれているわけでもなかった。時系列的に書かれているわけではなく、テクノロジーの進展の章もあれば芸術表現、広告表現としての章もあり、とりわけ後半の自然写真や最後の台湾・中国・韓国の写真芸術の進展などは面白かった。2022/08/12

Go Extreme

1
写真文化の基盤:カメラと写真の歩み 描写の進化がもたらしたもの 1990年代以降の写真と社会 ポートレイト 実態とイメージ スナップショット ヴィジュアル・コミュニケーションとしての発達 写真表現の展開:芸術と写真 写真家の芸術 前衛芸術としての写真 美術館の時代と再帰的な表現 ファッションと写真 文化と産業の境界 身体と性のイメージ 裸体の系譜 身体と性のイメージ 多様化する性をめぐって ネイチャー・フォト 写真史のもうひとつの起源 建築写真と都市化の景観 近代の葛藤とともに 文化的資源としての写真史2021/11/17

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