内容説明
辻本拓海は大物地面師・ハリソン山中と出会い、彼のもとで不動産詐欺を行っていた。メンバーは元司法書士の後藤、土地の情報を集める図面師の竹下、土地所有者の「なりすまし役」を手配する麗子の五人。彼らはハリソンの提案で泉岳寺駅至近にある市場価格100億円という広大な土地に狙いをつける。一方、定年が迫った刑事の辰は、かつて逮捕したが不起訴に終わったハリソン山中を独自に追っていた――。次々と明らかになる地面師たちの素顔、未だかつてない綱渡りの取引、難航する辰の捜査。それぞれの思惑が交錯した末に待ちうけていた結末とは? 実在の事件をモチーフに描いた新時代のクライムノベル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ@no book, no life.
140
あ、確かに出来るかもねと思わせる作品であった。司法書士を介した不動産取引。世の多くの方は一生に一度か数回かがあるかないかだと思うのだが、僕は現職でも前職でも仕事柄こうしたシーンに多く立ち会ったり当事者だったりする。その意味で興味深く、面白く、恐ろしさ分かったのである。そしてこの作品はそれだけに在らずである。登場人物達の詐欺師的キャラ付けが良い。またそれに加えハリソン山中の得体知れぬ恐ろしさが迫って来るのである。かつてなかったであろう土地取引を基礎としたロワールでヒットするのが分かる作品であった。2025/07/28
キタ
135
Audibleにて。Netflixは以前観ていたのでNetflixの役者さんがどうしてもイメージが出てきちゃいながら読んだ(聴いた)。珍しく書籍と映像どちらもよかったと思う。ぜひ、続編も読もう。しかしAudibleで小説聴くのは意外にあってるかも。2025/02/10
kyokyokyo3201
131
「地面師」という言葉は実際の事件の時に知った。その事件を元に書かれた本書。冒頭の不動産詐欺契約場面から引き込まれて一気に読んだ。騙す側と騙される側の攻防(特にラストの事件)にドキドキハラハラ手に汗握る。解説で大根仁氏が(会社的に)映像化が難しい旨を書いておられたが、Netflixでドラマ化が決定とのこと。見る!2023/11/17
となりのトウシロウ
130
面白くて、あっと言う間に読了。地面師と呼ばれる不動産詐欺師達を描いた作品。実話の積水ハウス事件をモデルに大手デベロッパーをペテンにかける様が、騙す側と騙される側の緊迫した攻防が手に汗握るスピード感溢れるタッチで描かれている。こんな話を読むと誰を信用して良いのか、誰も信じられなくなってしまう。老年刑事の辰の活躍をもっと見たかったように感じた。これ、シリーズになってるのかな?そんなエンディングでした。2025/08/24
Cambel
105
地面師ってこうやってチームで詐欺するんだと知らない世界を垣間見た。ド庶民な私には不動産は怖いと思った次第。ちょっと追う側の辰たちのキャラが弱かったかな?でも地面師たちが主役だからこれでいいのか。 時々、新宿とか白金とか麻布とか、裏に入るとそれなりの広さと思われる古い家を見かけるけど、ずっと地面師やデベロッパーに狙われてるのかなぁ。相続税大変そうだなぁとか、下世話なことを考えてしまう。シリーズはハリソン山中を中心にして続いていくようなので、続編はいずれ。2025/11/16




