内容説明
これは、孤立する日本の未来を予測する衝撃の書なのか。21世紀の国際情勢を大胆に予測する衝撃の書。世界的な国際政治学者、戦略家S・ハンチントン教授が発表した挑戦的ベストセラー、待望の刊行。
目次
第1部 さまざまな文明からなる世界
第2部 文明間のバランスのシフト
第3部 文明の秩序の出現
第4部 文明の衝突
第5部 文明の未来
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
226
文明を如何に定義するのかにより視点が変わってくると思う。私見として著者・ハンチントン氏は人類に対する警鐘を鳴らす意味で本書を認めたと思う。ただ視点が、衝突・分裂の片側に寄っているように感じられる。歴史上、人間社会はあらゆるレベル(民族・イデオロギー・宗教等々)において”融合・衝突”と”統合・分裂”を繰り返しながらも、緩やかに統合・融合へと進んでいるように観える。歴史上の時々に衝突・分裂を起こすが、融合・統合との綱引きで、お互いに強く引き合いながらも、より大きな枠組みで融合・統合へと進んでいると感じる。2017/06/16
KAZOO
140
1993年にフォーリンアフェアーズに掲載されてから、もう20年以上がったっていますが現状の世界の状況を考えるとこの本の価値は少しも減じてはいないという気がします。若干の細かいところなどでは少し違うなっと感じられるところはあっても大局は変わっていない気がします。結構様々な国などが出てくるので、世界地図を手元に置いておいた方がいいという気がします。再読ですが何年かごとに読み返しています。2016/01/31
5 よういち
105
読むのに時間はかかるが凄い本だ。20年前の発刊ながら、今の世界、これからの世界を見事に言い当てているといって過言ではない。◆冷戦時代、世界は民主主義国、共産主義国、第三世界の3つに大別され、常に第三世界が先の二国群の闘争の場となってきた。共産主義が崩壊した今日、世界は7~8の主要文明(中華、日本、ヒンドゥー、イスラム、西欧、ロシア正教、ラテン、アフリカ)に分けて考える必要がある。これからは異文明間での闘争を避ける必要があり、そのためには、互いに干渉せず、共同調停ルールを策定することだ。生易しいことではない2019/08/26
Tomoichi
25
1993年夏号の「フォーリン・アフェアーズ」に掲載された「文明の衝突?」を発展させたものである。本書が書かれた後には9・11があったりその後のイラクやアフガンでの戦争があった。予言の書とは言わないが、2000年に入ってからのアメリカそして世界の混迷を考えると本書から学べることは多い。20世紀の過去の論文とは言えない、現代につながる世界政治を理解する最適の書だと思う。2018/09/30
Miyoshi Hirotaka
24
人類は文明により分類される。人種、民族、国家は下部集団でしかない。文明は栄枯盛衰し、時には埋もれる。また、文明は衝突する。文明が接する地帯では、紛争を対価とする勢力均衡か、覇権を対価とした平和のどちらかを選択せねばならない。西欧や中東は前者を中南米は後者を選択してきた。わが国は脱亜入欧で中華覇権から脱した。近代の主流だった西欧リベラリズム崩壊の前兆としてマルクス主義が失敗に終わった。イデオロギーが否認された後に来るのは、「自分は何者か」を問う時代。それは、文明間に共通する価値観を共有する方向に向かう。2021/11/08