中公新書<br> 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

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中公新書
資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く

  • 著者名:小野善康【著】
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 中央公論新社(2022/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026798

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内容説明

順調に成長を続けた日米欧経済はなぜ長期停滞や格差拡大に陥ったのか。従来の経済学ではうまく説明できない。本書ではお金や富の保有願望=「資産選好」に注目し、経済が豊かになるにつれて人々の興味が消費から蓄財に向かい、経済構造が大きく変貌した経緯を解明。高度成長期を支えた従来型の金融緩和や構造改革、減税やバラマキ、教育方針が、今では無意味か逆効果であることを明らかにし、低成長時代の経済政策を提言する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zag2

25
成熟経済下では、貨幣は流動性選好ではなく、資産選好によって保有されているので、金利を下げても消費は拡大せず、景気は回復しない。現在の経済学は一時的な不況は説明できるが、資産選好の考慮をしていないために、長期停滞を説明できない。というのがおおよその趣旨と思います。たしかに経済政策が全く利いていない現状をみると、この主張は納得できますが、最終章で提言している成熟経済下での経済政策は「たしかにそうですねえ」とは思うものの、実現可能性や時間的制約など、現実には難しそうに思えます。数式は読み飛ばしましたが…2022/04/09

Mc6ρ助

22
著者は消費が伸びないのは日本経済が成熟して人々の消費意欲が低下して相対的に資産選好が勝り、しかも将来の消費が目的ではない単なるカネの保蔵に走っているためだという。老後の生活や介護に自分のカネを貯めなきゃいけない庶民のアセリはご理解いただけないようだ。他にもいろいろな経済学説が紹介されているが、アベノミクスのトリクリダウンを否定してくれなかった経済学者皆さんの仰ることを傾聴することはけっこう難しい(お金持ちは金融経済での利益を金融経済に戻して市場にまわさなかっただけで著者の主張は正しいのかもしれないけど)。2024/10/21

koji

22
本書の基本方程式は、γ(m,c)+δ(a,c)=p+π。左辺は流動性プレミアムと資産プレミアムの和。右辺は、時間選好率と物価変化率の和。この数式を基本に、成長経済と異なる成熟経済のもとで、経済の豊かさが消費から蓄財に向かうメカニズムを「資産選考」をKeyWordに説明していきます。一方で、これが格差拡大、デフレ進行等負の経済を助長し、この処方箋は、金融緩和、減税、給付金等では上手くいかず、総需要を刺激する公共支出の拡大が効果的と説きます。筋はとおります。一方で反論も多々ありそうです。少し深掘りしてみます2022/09/21

かごむし

18
ある程度の豊かさが実現して消費欲求がほぼ満たされ、しかし、資産への欲望が減退しない、そのような成熟経済を、マクロ経済学における基本方程式を用いて説明する。実際に行われた経済政策とその効果や、長期不況下での株価高騰の理由など、実例を基本方程式にあてはめ、成熟経済ではどの変数に影響があり、だから、従来は消費を刺激できた経済政策がなぜ今は無効になるのかという説明が納得できた。そして理論にとどまらず、著者は一歩踏み込んで政策提言を行っている。成熟経済が体系的にコンパクトにまとめられていて読み応えのある一冊だった。2022/09/05

Francis

17
日本の優れたケインズ派経済学者小野善康先生の最新刊、そして先生のこれまでの研究の集大成を「パンフレッター」として出来るだけ分かりやすく新書サイズにまとめたもの。日本をはじめとする先進国経済は生産能力が総需要を大幅に上回る成熟経済となっている。そのためこれまでの成長経済での経済政策として有効だった赤字財政による財政支出も金融緩和による民間投資刺激策もうまく行かなくなっている。そのために例えば日本ではアベノミクスはうまく行かず膨大な財政赤字の状態になっている。ではどうしたら良いか。それを示したのが本書である。2022/02/11

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