内容説明
可愛いだけかと思っていた存在が、世界を救うかもしれない。
ビーバー本の決定版!
見た目が可愛くて、ダムをつくることで有名なビーバー。
しかし、ビーバーについて知られているのは、逆に言うとそのくらいなのではないでしょうか。
ところが、ビーバーの先祖は土に穴をほっていた、ビーバーの毛皮や香料を巡って
アメリカとイギリスが対立していた、ビーバーを繁殖させるためにパラシュートで
風に乗せて分散させた(!)など、ビーバーには知られざる驚くべき話がたくさんあるのです。
さらに、ビーバーのつくるダムが、究極にエコな治水システムとして脚光を浴びています。
生態学、文化史、治水学ほかにまたがりながら、この類まれなる動物の全貌に迫ります。
PEN/E.O. ウィルソン リテラリー サイエンス ライティング アワード受賞作
<目次より>
序文 ビーバーのいないアメリカ
はじめに 偉大な本のためのテーマ
第一章 ビーバーの奇妙なる生態 その発見と進化の歴史
第二章 ビーバーの壊滅 人類との関係
第三章 ビーバーの復活 切り札のデバイス
第四章 ビーバー再配置作戦 パラシュート降下からビーバーモーテルまで
第五章 ビーバーとサーモン ダムの効用
第六章 ビーバー革命 環境改善の要
第七章 ビーバーと荒野 農場との共存の道
第八章 ビーバーとオオカミ 肉食獣よりも脅威となるもの
第九章 ビーバー イン ヨーロッパ 欧州での保護活動
第十章 ビーバーに仕事をさせよう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
38
原著タイトルににやり。eager beaver、ね。ビーバーが受けてきた迫害の歴史を振り返ると、この動物の減少と北米の水源枯渇問題の関連性が見えてくるー説得力のある様々なケースや活動家の努力にワクワクした。イエローストーンとオオカミの話があれだけ注目されているのに、ビーバーの再導入がそれほど知られていないのは残念だ。早速映画「The Beaver Believers」のサイトを見てハイディ・ペリマンさんらを眺め、彼らがビーバーに似ているので笑ってしまいました。自分もすっかりビーバー信者になったみたい。2022/03/03
逆丸カツハ
22
買って長らく読んでなかったのを読む。ビーバーすげぇ〜。そして人間はクソだな。2025/01/03
zoe
18
ビーバーは住処として木でできたダムを建設する。湿地を形成させ、魚の住処や、動物の水飲み場、良好な牧草地の確保にも貢献するとされる。また、毛皮・肉・香料として用途は広い。そのため、毛皮を目的に乱獲され激減。技術発展にともなう農業や市街化の犠牲にもなった。天然の水瓶・炭素固定点がなくなることの影響は大きい。温暖化、河川の水量の劇的な変動、サケ資源の減少などに影響。オオカミを移住させたように、ビーバーを移住させて、自然の回復を試みる。うまくいくケースはあるが、住民協力が得られない、天敵の餌食になるケースもある。2022/03/19
jackbdc
12
愛らしい容姿とダムを造る習性が特長的。色んな環境に割と適応し易いビーバーは自然再生の切り札としてアイドル的人気を集めているらしい。イエローストーンの記述が印象的だった。オオカミ導入により川の再生に繋がった事例が広く知られるようになったが、その裏でビーバー導入の成果も結実していた。一方で一度壊れた自然はオオカミやビーバーの導入だけで簡単に修復できるとは限らないという現実も知らされる。周知啓発は最初はハードル低めで始めるのは良いがゴールは本質的な部分:自然の複雑性を活かす、処を見据える必要があるのだろう。2022/04/24
入道雲
8
表紙とサブタイトルが気になって読んでみました。今まで身近にはビーバーはいないので、ビーバーの凄さを本書で堪能できました。環境や他の生物への影響は計り知れず。2023/09/13