岩波新書<br> 新型コロナと向き合う - 「かかりつけ医」からの提言

個数:1
紙書籍版価格
¥946
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

岩波新書
新型コロナと向き合う - 「かかりつけ医」からの提言

  • 著者名:横倉義武
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2022/02発売)
  • GWに本を読もう!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~5/6)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319009

ファイル: /

内容説明

医療現場では何が課題だったのか.医療政策・医療行政のどこに問題があったのか.そして今後の展望は――.著者は日本医師会会長として初動の緊迫した半年間,新型コロナ感染症対応にあたった.この経験の中で得た教訓と,感染拡大から一年半余を経た現状を踏まえ,「かかりつけ医」と地域医療を重視する立場からの提言を記す.

目次

はじめに┴第1章 〈ドキュメント〉新型コロナウイルス感染症との半年間┴二〇二〇年一月 得体の知れない感染症の脅威┴まずは情報連携の強化/早くも医療物資不足/日本医師会「新型コロナウイルス感染症対策本部」の設置/国民の生命か,経済か/水際対策の限界とサーベイランス/WHOのPHEIC宣言┴二〇二〇年二月 まさかの一斉休校┴まん延防止のための医療体制の構築始まる/医師の判断で検査ができない/見えぬコロナの様相/足りない感染症病床 厚労省の方針転換/国への六項目の要望/政府「新型コロナウイルス感染症専門家会議」初会合/医療現場と国民にどう伝えるか/検査体制の強化?/学級閉鎖すべきか 学校医の出番/オンライン診療/現場で問われる本医師会の考え/「帰国者・接触者外来」はどこだ/「新型コロナウイルス対策の目的」 専門家会議による基本的な考え方/「医療提供体制の方向性」 政府の基本方針と医療現場の懸念/感染拡大防止のためのメッセージ発信/国へ要望書を手交/学校一斉休校は何をもたらすか/「ダイヤモンド・プリンセス」号にJMAT派遣/クルーズ船内におけるJMATの役割┴二〇二〇年三月 迷走するPCR検査┴依然なくならない不適切事例/PCR検査保険適用への誤解/「帰国者・接触者相談センター」のパンク/「帰国者・接触者外来」のパンク/院内感染と濃厚接触者の判断/院内感染を防ぐための診療制限/オンライン診療の適用拡大/空床情報のネットワーク化/WHOの三つのシナリオ/「帰国者・接触者相談センター」と「帰国者・接触者外来」の強化/正しい医学的知見を伝えるために/医療従事者の濃厚接触者判断のその後/WHOのパンデミック宣言/防護具不足のその後/インフル特措法改正,緊急事態宣言発令準備整う/医療現場の懸念 医療従事者の感染/医療機関情報の把握/入院医療体制/医療提供体制をどうするか/「帰国者・接触者外来」への協力/軽症・無症状の陽性者の扱い/ワクチン開発への期待/「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」/PCR検査体制の再構築/保険適用わずか,いまだ行政検査/「帰国者・接触者外来」拡充をはばむ壁/抗体検査の測定キット/感染患者の増加を見据えた医療体制の構築/COVID-19JMAT/医師の生涯教育/日医独自の医療の緊急事態宣言へ/基盤としての財源システムの不在/感染者数の特徴┴二〇二〇年四月 「緊急事態宣言」発令┴「医療危機的状況宣言」/医療提供体制の窮状/政府,「緊急事態宣言」の発令/医療機関への財政支援策三つの柱/医師会からの様々な発信/有効な治療薬の兆し シクレソニドとアビガン/自宅療養患者等に対するフォローアップ/医師会によるPCR検査センター/日医「COVID-19有識者会議」の発足/防護具不足の解消に向けて/重症患者の病床確保に向けて/救急医療の逼迫/緊急事態宣言の解除に向けて/医師会「地域外来・検査センター」運営マニュアル/アビガンの早期承認を/病院経営悪化の懸念┴二〇二〇年五月 病院経営悪化,深刻に┴受診控え 外来・入院患者数の減少/緊急事態宣言の延長/レムデシビルの承認/唾液によるPCR検査への期待/医療機関への財政支援を/第一波の収束 緊急事態宣言の解除/第二次補正予算の閣議決定┴二〇二〇年六月 検査方法の進展┴唾液によるPCR検査,保険適用へ/抗体検査,三都府県調査/抗原検査だけで陰性判断へ/医療経営の窮状続く/次世代の看護師養成のために/後回しになりがちな健診/退任┴第2章 新型コロナウイルス感染症政策を考える┴1 PCR検査の二つの顔┴医療か公衆衛生か/検査数はなぜ伸び悩んだのか┴2 防護具不足による医療崩壊の危機┴感染防護具が足りない/医療界の団結と協力だけでは解決できない/産業界との連携体制の確立へ┴3 コロナ医療と通常医療を両立させる医療提供体制の再構築┴脆弱な感染症医療提供体制/陽性者はすべて入院という不都合 医療の本質と乖離した行政判断/入院・宿泊施設・自宅療養の仕組みへ/宿泊施設・自宅療養患者への健康支援/民間病院がコロナ患者を受け入れないのが悪いという風潮/病気はコロナだけではない 「コロナ医療」と「通常医療」の両立が重要/自宅療養患者への診療体制の強化┴4 医療を守るには財源確保が必要┴風評被害と医療機関の経営悪化/安定的財源確保という課題┴5 感染症としての位置づけをどうするか┴感染症法に基づく分類/既存の類型への位置づけでよかったのか┴6 政策決定過程のあり方┴7 治療薬の実用化に向けて┴重症化リスクの高い方へのアビガン投与/レムデシビルの特例承認/治療薬の今後┴8 ワクチン開発と接種をめぐる話┴開発と接種に向けた法整備/国内ワクチン開発への期待/ワクチン副反応と救済制度┴9 災害時の医療の役割 JMATをめぐって┴医師会の被災者支援活動/感染症流行下におけるJMATへの新たな期待/大切なのは,オールハザードアプローチの視点┴10 危機管理体制 「日本版CDC」の必要性┴11 感染症対策を健康教育へ┴子どもをいかに守っていくか/感染症に負けない人を育てる┴第3章 「かかりつけ医」の果たす役割 感染症の教訓とともに考える┴1 医師たるもの「かかりつけ医」となれ 父の教え┴結核患者のために私財を投じた父/感染症予防に便槽の清潔活動/地域に溶け込んでなんぼ┴2 コロナ医療と「かかりつけ医」┴地域の医療連携体制の中心として/ワクチン接種と「かかりつけ医」┴3 「かかりつけ医」の多様な働き┴かかりつけ医の役割と機能/かかりつけ医の育成/かかりつけ医の活動を支える┴4 「かかりつけ医」をもとう┴おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

49
かかりつけ医とは、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師(ⅲ頁)。やたら第1章が長い。。医師が感染防護具不足というのは、エッセンシャルワーカーの健康なくして患者の健康維持なし。なんとかしてほしい。158頁に、医師と患者の信頼関係が書いてある。これは、私の場合も教師と生徒の信頼関係に置き換わる。目に見えない文化資本(D.スロスビー)を想起しよう。2022/01/19

Go Extreme

3
新型コロナウイルス感染症・半年間: 2020年1月―得体の知れない感染症の脅威 2月―まさかの一斉休校 3月―迷走するPCR検査 4月―緊急事態宣言発令 5月―病院経営悪化、深刻に 6月―検査方法の進展 新型コロナウイルス感染症政策を考える: PCR検査の二つの顔 防護具不足による医療崩壊の危機 医療を守るには財源確保が必要 感染症としての位置づけ 政策決定過程のあり方 治療薬の実用化に向けて ワクチン開発と接種をめぐる話 災害時の医療の役割 危機管理体制 感染症対策を健康教育へ かかりつけ医の果たす役割2021/11/12

のせち

1
コロナ禍においての医療政策の問題点を指摘している。医療従事者と非医療従事者の認識のギャップを埋めてくれる。2022/01/12

石井千湖

1
読売新聞短評で紹介。2021/12/05

philosophia1976

0
医師からみたコロナ禍と次なる感染症にむけた提言をまとめた本。著者はコロナ禍最初の2020年6月まで日本医師会会長を務めた医師。国や地方行政の対応のまずさ、マスク・防護服の資材不足、マスコミやネットによるデマや不正確な情報の拡散など、医師はコロナ以外に戦うものが多かった。問題になった検査の「目詰まり」は、検査から指定医療機関への紹介までを国が一元管理したためセンターに電話が殺到して機能不全に陥ったことが原因。今後のために「医療のための検査」と「公衆衛生のための検査」は分けるべきという提言はなるほどと感じた。2023/05/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/18693562
  • ご注意事項

最近チェックした商品