ポプラ文庫 日本文学<br> 名もなき王国

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ポプラ文庫 日本文学
名もなき王国

  • 著者名:倉数茂【著】/佐久間友香【イラスト】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • ポプラ社(2022/02発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784591172537

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内容説明

「あの時以来、僕は伯母の『王国』の住人でありつづけているのです」 売れない小説家の私が若手作家の集まりで出会った、聡明な青年・澤田瞬。彼の伯母が、敬愛する幻想小説家・沢渡晶だと知った私は、瞬の数奇な人生と、伯母が隠遁していた古い屋敷を巡る不可思議な物語に魅了されていく。なぜ、この物語は語られるのか。謎が明かされるラスト7ページで、世界は一変する。深い感動が胸を打つ、至高の“愛”の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

シロナガススイカ

11
『僕らはある『特別なこと』をなかったことにして生きている』/とある作家を巡り、二人の男の人生に歪みが生じ始める。/うーん、ちょっと長い!そして小難しい!こういう目的地が見えなくてやきもきさせられる作品は、道中を楽しませられるだけの筆力が欲しい。ラスト数ページの衝撃というのも、個人的には反則寄りで受け付けなかった。主人公が作家で、苦悩とか諦念とかを含めた物書きとしての熱量に一番筆が乗っていた(気がする)。物語の外側に書き手の物語があることを想起させられてしまうそういう感じも、ぼかぁ好きじゃないんだ。2024/08/03

ベック

6
 物語が物語を生み、物語が分岐し、物語が物語を包んでゆく。ぼくは、こういう繚乱とした世界が好きだ。頭のどこかでこういう色んな物語が詰めこまれた本を求めていた。なんとも素敵に巧みに終息したではないか。実のところ、いったいどうやって着地するのか気が気じゃなかったのだ。いやあ、良かったー。2022/04/30

ハッピーハートの樹

5
どのお話も最後が妙に印象に残りました。物語の中って何次元なんだろう。紙の上だからといって2次元だとは思えない。文字の組み合わせだけでも数えきれないのに。同じ言葉でも前後の文脈や誰に話させるかで意味は変わるし。正に無限!/物語を紡ぐだけで、いくらでも生き返らせることができる?そんなことはないか。過去や未来の話しは書けても、自分のリアルタイム、同じ時間を過ごすことはできないもの。/書くことをやめたらそれでおしまい。でも本の中の人達は気がつかないかな。時が止まったみたいに。/今を一緒に過ごせるのは素晴らしいね。2022/12/20

ふゆ

5
読友さんのステキな感想より積読を発掘しました。どうして文庫の登録なのかなー…直し方もわからないし、もういい。筆者の腕力でぐわんぐわんに振り回される力ずくの一冊でした。1人の埋もれた小説家と彼女の住う屋敷。彼女を知る若者と40歳の男。自分の存在について、自分以外の誰かが本当に知っているのか。人は誰しも自分の王国を持ち得るか。美しい掌編をきな臭く酒臭いリアルが挟みます。私はこの夏この本を読んだという満足感が得られるステキな読書体験でした。ご紹介ありがとうございました。2022/08/27

すいそ・はいどろ

4
物語を物語るためにひたすらに文章を連ねていくと、ある時点から、全く別の不思議な物語が循環し、最初に戻り、気が付くと誰一人いない世界で物語だけが辺りを満たしてゆく。この閉じた物語世界に迷い込むと、そこから出られなくなっていく。不思議な話でした。でもきっと誰もが抱え込んで忘れている物語なのでしょう。2022/02/15

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