京都学派と自覚の教育学 - 篠原助市・長田新・木村素衞から戦後教育学まで

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京都学派と自覚の教育学 - 篠原助市・長田新・木村素衞から戦後教育学まで

  • 著者名:矢野智司
  • 価格 ¥8,250(本体¥7,500)
  • 勁草書房(2022/02発売)
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  • ISBN:9784326251537

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内容説明

京都学派の哲学は、戦前・戦後の日本の教育学にいかなる影響を与えたのか。従来、それぞれが孤立して見えていた1910年代から60年代の日本の教育学・教育思想の多様な試みを、京都学派の哲学を中軸に通観することにより、「自覚の教育学」として互いに有機的につながったシステムの運動=展開として捉えうることを示す。

目次

序 章 京都学派の哲学を中心に日本教育学を描きだす試み
 1 近代日本教育学説史・思想史の再検討
 2 教育学における京都学派の哲学の忘却
 3 本書の構成と各章の主題

第I部 京都学派を中心におく日本の教育思想史の構図

第1章 カノン形成からみた日本の教育思想史研究
 1 教育思想史研究と教育思想研究の間
 2 どのテクストが教育思想のテクストなのか
 3 戦後の教育思想史研究におけるカノン形成とその問題
 4 テクストに何をどのように問い糾すのか
 5 教育思想史と教育思想と教育現実のトリアーデ

第2章 京都学派人間学と日本の教育学との失われた環を求めて
 1 問題としての京都学派人間学と日本の教育学
 2 大正新教育における「新カント学派」西田幾多郎とその弟子
 3 京都学派教育学の誕生と展開
 4 京都学派人間学の「日本教育学」的形態
 5 京都学派 三木清の技術論と教育科学の成立
 6 京都学派人間学と戦前戦後の国民道徳論の行方
 7 京都学派人間学と日本の教育学の失われた環

第3章 日本教育思想史における自覚の概念の消息
 1 教育学の主題としての自覚の概念
 2 自覚の概念と新カント学派
 3 京都学派における自覚の概念
 4 教育学における自覚の概念の変容
 5 日本教育思想史という物語における自覚と発達

第4章 大正新教育のなかの西田幾多郎
 1 西田哲学を軸に新教育の思想を捉える
 2 西田哲学の純粋経験の立場から自覚の立場への転回
 3 「自覚の教育学」における新カント学派‐西田‐ベルクソン
 4 ベルクソンに基づく新教育の思想における西田哲学の働き
 5 西田哲学の新教育の実践現場への滲透
 6 ハイブリッドな新教育思想の可能性

第5章 京都学派と世界市民形成論の水脈
 1 グローバリゼーション時代における世界市民という課題
 2 祖国愛か人類愛かというアポリア──ルソーからカントへ
 3 京都学派と世界市民主義──木村素衞の教育学を中心に
 4 戦後教育における世界市民論の変容と消失

附 論 京都学派におけるフォイエルバッハの人間学とマルクス主義受容の諸形態
 1 マルクス主義の衝撃──西田幾多郎・田邊元・木村素衞
 2 三木清の「マルクス主義の人間学」とレーヴィット
 3 田邊元の「存在的存在論的な人間学」とフォイエルバッハ
 4 和辻哲郎の「人間の学」とマルクス
 5 西田幾多郎の歴史的実践論とマルクス主義

第II部 教育思想における京都学派の思考の形

第6章 西田幾多郎における教育学の構想──論文「教育学について」をめぐる考察
 1 「形成作用の学」としての教育学
 2 「私と汝」という人格的自己の共同存在論
 3 「永遠の今の自己限定」という歴史的世界創造の時間論
 4 「永遠の今の自己限定」から捉えた教育学構築の方向

第7章 京都学派としての篠原助市──自覚の教育学の誕生と変容
 1 「新カント学派」としての西田幾多郎
 2 学生篠原と西田先生
 3 篠原「自然の理性化」における自覚の構造
 4 篠原「個人の歴史化」における行為的直観の論理
 5 篠原教育学における論理と生命の振幅
 6 「自覚の教育学」の行方

ほか

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