内容説明
明治維新後150年の日本のフェミニズムの歴史を,主要な人物や思想に焦点を当てながら,一貫した視点で書き下ろしたテキスト。1970年代以降を扱う後半は,フェミニストとしての著者自身の足跡をまとめる構成となった。絶筆となった「断章──2021年夏」も収録。
感想・レビュー
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ネギっ子gen
36
明治維新後150年の日本のフェミニズムの歴史を、主要な人物や思想に焦点を当てながら書き下ろしたテキスト。1970代以降を扱う後半は、フェミニストとしての著者自身の足跡をまとめる構成。絶筆となった「断章──2021年夏」も収録。女性学の日本における産みの親である著者の「最終講義」<大学や学会で地位を獲得し業績を上げる女性研究者が増えることも大事なことです。けれども、一方で、女性学の原点に帰って、女性として生きる経験を記録し、自分たちの視点を鍛えて、それぞれの場で発信していくことも、とても重要な活動だ>と。⇒2022/02/04
Go Extreme
2
その1 1868~1970: 「イエ」制度に抗した第一波フェミニズム 明治政府による近代化政策と「イエ』制度 貞操論争と母性保護論争 堕胎論争から産児調節運動まで 婦人参政権獲得運動と市川房枝 戦時体制下での女性政策の進行 日本国憲法による男女平等保障の下で: 婦人参政権の獲得と行使 働く女性の保護と平等 「イエ」制度解体の出発点としての民法改正 優生保護法制定と家族計画の奨励 婦人運動と婦人問題学習 主婦論争と主婦の学習活動 恋愛結婚とマイホーム主義 その2 1970~: 山川菊栄と田中寿美子2022/01/26
Riri
1
明治維新後の日本のフェミニズムの流れが、詳しく、わかりやすく分析的にまとめられた良本。著者の学問的バックグラウンドとそれへの誇りが伝わる。「イエ」制度、日本国憲法、堕胎論争、避妊論争、参政権、公娼廃止など今につながる女性の権利関連を、若い女性たちが、政治参画や出版物の発行などを行いながら、汗と涙をたらし勝ち取ってきたことがわかる。彼女たちのエネルギーと強さに触れ、感動。姿勢が伸びる思いだ。この本で初めて知った山川菊栄氏に脱帽。セクハラや痴漢を暴力とみなし、post-colonialな発言は先見の明がある2022/08/31
hnk
1
「女性というくくりで一般化することに抵抗のある人は、ご自分なりのアイディンティを基に、包括的ではない個別の女性学をお創りになることをお奨めします」2022/06/04
だちょう
1
PART1を特に興味深く読んだ。点だけの情報を現代の視点から振り返ると、どうしてこのような主張が生まれたのだろう、なぜそんな議論があったのだろうか?と疑問に思うことが多いのだけど、この本のように、歴史的に丁寧に議論の流れを追ってもらえると、その議論が生まれた経緯がわかって理解が深まる。筆者の急逝のため、日本のフェミニズム史のPART1が1970年までで終わってしまったのが非常に残念。どなたかに続きを書いてもらいたい。