動物意識の誕生 上 - 生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化

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動物意識の誕生 上 - 生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化

  • ISBN:9784326154746

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内容説明

何があればその生物に「意識」があるといえるのか? 多くの研究者がこの「進化の目印」を求めている。神経機構か、感覚器官か。否。「学習」こそがカギだと喝破する著者二人は、脊椎動物、節足動物、頭足類をも射程に捉え、意識がカンブリア爆発と同時に進化したと推定する。動物意識の源流へと向かう緻密な探究をともに追随する体験!

目次

序文
謝辞

I 理由づけと基礎づけ

第一章 目的指向システム──生命と意識に対する進化的アプローチ
 レイボヴィッツの試練──カント的な認識論的ギャップ
 生命のギャップ──神秘から科学的問題へ
 組織化の原理
 生命の起源のシナリオとシミュレーション
 意識に立ち返る──クオリアのギャップ
 三つの説明のギャップ
 デネットの階層と系統発生的分布──体験の要素を見つけ出す

第二章 心の組織化と進化──ラマルクから意識の神経科学まで
 連合主義者たち
 ジャン=バティスト・ラマルクの進化心理学
 ハーバート・スペンサーと心理学の進化原理
 チャールズ・ダーウィンと、人間と動物の心の連続性
 ウィリアム・ジェームズの心理学的探究
 意識研究の衰退とゆるやかな復活

第三章 創発主義的合意──神経生物学からの視点
 特定の経験の神経相関
 「意識の場」説──オシレーターとアトラクター
 サイコロの重心ずらし
 情動と身体化
 概観

第四章 クオリアのギャップを生物学で橋渡し?
 いくつかの知る方法──メアリー、フレッド、ダニエル
 知覚の学習──ダニエル・キッシュの実例
 なぜ角釘は丸穴に合わないのか、影はどのように進化しうるのか
 構成的問題──意識のマジックショー
 実現可能化システム
 目的機能の問題──意識には機能ではなく目的がある

第五章 分布問題──意識はどの動物に備わっているのか?
 類比からの論証
 「誰問題」──二十一世紀の諸説
 進化的移行の目印──進化的移行アプローチ

原注
訳注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

プロムナード

5
まず「生命」や「意識」についてのここ3世紀ぶんの研究をみっちり概観したうえで、前提はおわかりいただけただろうか。ではこれより我々の主張を述べる。ってとこでようやく上巻が終わるの硬派すぎてしびれますね……。オートポイエーシスあたりの生命の定義からおさらいしてくれるのはありがたいですし、「自由意志とはただの錯覚だ」って話がリベットの実験よりずっと古く、19世紀のラマルクやウィリアム・ジェームズの頃から指摘されてたというのも知らなかったのでためになりました。2023/06/01

yooou

5
☆☆☆☆★ 最低限の意識がいつどの動物に発生してどのように発展してきたのかという心とらえて離さないテーマにページをめくるてももどかしい。しかし上巻はこれまでの様々な説を網羅的に並べており情報量が多すぎて飲み込めませんでした。一旦休憩してから下巻に進みます2021/07/29

mim42

5
「意識」の成立に必須な7つの要素と、その中でも特に大切な「学習」の3段階。競合との距離感を楽しむにはファインバーグらの「意識の神秘を暴く」も読んでおくと良い。きっと本書の立ち位置も分かるだろう。本書の根幹は、意識のマーカーは無制約連合学習であるという仮説。これらを纏めて、複数の深層強化学習モデル、予測誤差モデルを構成配置して、多段オペラント学習を実現できれば占めたもの。 意識の進化哲学論争史が綴られているのも面白い。志向性に関する狭隘な一部の言語哲学的弊害やラマルクを甘く見てはいけない等の発見あり。2021/06/28

gachin

3
神経基盤の進化を扱うには、何はともあれ現象論的なところから研究を着手する。が、この部分が一番厄介でもある。本書はそれをスッキリ助けてくれる点で類書が無いように思う。/ 形相因は系内部の目的因。生物には機能より高次のテロス(意識・思想)を因果的説明項として認めることができる。/ 意識の有無(パターン)ではなく意識の進化的獲得(プロセス)に着目するのは慧眼。「mode of beingのマーカー」も役立ちそうな概念。これを考察する過程で、矢印には論理と因果の二種類があると学んだ。2021/09/08

Yoshi

2
意識のメカニズムを進化の観点から調べようということを考えると、意識の神経相関と同じで、意識をどう定義するか次第で結果が変わるということになる。 本書では、無制約の連想学習という提案をしているが、根拠は不十分。バースのグローバル・ワークスペース理論も意識理論として正しいか議論されているし。。。 たとえば、マルチモーダルの強化学習する機械は意識を持つのか?なんで?生物と機械とで異なる意識の理論を必要とするというのは、なぜそうなのか見解が欲しい。2023/09/14

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