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内容説明
哲学する心を誘う、異色の入門書!
哲学は一部の知的エリートに独占されている高邁な営みでも、心の悩みを解決してくれるものでもない。
では哲学とは何か。
それは「概念を云々することで世界の認識を更新する知的な抵抗である」。
本書では、漁民の反抗、奴隷戦争、先住民の闘争、啓蒙主義、反戦、公民権運動など、いずれも明瞭な抵抗のイメージをともなうものを「哲学」の例として挙げる。
あらゆる哲学は「抵抗」だ。
何を見ても哲学が見える、哲学に見える――。
世界のちょっと変わった見えかたや哲学する心を誘う、異色の入門書。
【主な内容】
・哲学のイメージを前にひるまない
・すべてが哲学に見えてくる経験
・哲学は悩みでも悩みの解決でもない
・概念は矛盾がないとはかぎらない
・抵抗にいいも悪いもない
・抵抗は成否によっては計られない
・蜂起は無駄なのか?
・感情移入の重要性 など
目次
はじめに
第一章 哲学を定義する
第二章 隷従者の抵抗
第三章 主食
第四章 運命論への抵抗
第五章 いまがその時間
おわりに
主要参考資料一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
111
「異色の哲学入門書!」というコピーに誘われて手にしたが、哲学に対する認識の出発点が全く違う私は、本書の正しい読み手ではありえないと思う。本書は、抵抗運動(先住民の抵抗、反戦、公民権運動など)の中にこそ哲学があるとして、数々の事例が紹介される。知的遊戯のような「狭義の哲学」を捨象し、「あらゆる哲学は抵抗だ」として哲学の再定義を図る著者の思いが伝わる。冷笑主義が蔓延る現代社会で、哲学的抵抗と連帯の必要性を主張する著者の思いを理解しつつも、哲学の目的が矮小化される違和感を禁じ得ず、私には居心地の悪い一冊だった。2022/03/18
venturingbeyond
23
冒頭で著者が示す「哲学とは、概念を云々することで世界の認識を更新する知的な抵抗である」との哲学の定義に従い、具体例を挙げて哲学の営みの価値や意義を読者に問いかける好著。この著者独自の定義に相応しい萱野茂とM.L.キングを扱った第3章と第5章が本書のハイライト。2022/07/08
Bartleby
15
イタリアの哲学者アガンベンの訳者として知られる高桑和巳氏による哲学入門。しかしいわゆる哲学史入門ではない。いわば「哲学する」とはどういうことなのか。それを実践してみせた本だ。 概念を創造することが哲学の営みのひとつであるが、本書ではそれが具体的にどういうことなのか、映画『揺れる大地』『スパルタカス』、アイヌの萱野茂氏の活動、ヴォルテールの『カンディード』、ヴォネガット『スローターハウス5』、キング牧師などを例に示してみせる。 これは二十歳前後の人たちに特におすすめしたい。もちろんそれ以外の人たちにも。2024/01/25
ネムル
11
アガンベンの翻訳で知られる著者による、はじめての新書。ややも平易で食い足りなくも、いまの社会に対する苛立ち、あるいは抵抗に向かう静かな熾火を感じて力付けられた。「同情よりもはるかに大事なのは、理路を辿るなかで不意に訪れる感情移入でしょう。感情移入は、予期できないしかたで受け手を被害者に成り代わらせ、被害者の窮状のなかに不意に置き去りにし、被害者の孤立無援のありさまを、道理においても情緒においても、まさに身をもって受け取らせます」2022/02/02
shimashimaon
8
知性とは思いやりだと思っています。ちきりんがVoicyで民度について語っているのですが、日本なら横断歩道の手前で人が立っていても停まる車が少ないのは民度が低い例となります。この場合民度が高いのは歩行者の側に立って、荷物が重そうだな、高齢だから歩くの大変だろうなと考えられるということです。本書では全面においてマジョリティとなる人間はいないといいます。だからこそマイノリティの立場で考える必要がある。それは共感とは違う。冒頭で思いやりと言った私自身も大いに反省しています。『ゴールデンカムイ』の次に読んでほしい。2024/07/06
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